レビュー

「PILLAR OF LIGHT」/BABAGANOUJ

ギターポップが好きです。革新性なんて無くて良いし、良いメロディーと人懐っこいグルーヴがそこにあれば良い。ロッキンなやつでもポップなやつでも、へなへななローファイなやつでも良い。そんな中で出会ったのがこのオーストラリアの女二人男一人のバンド…

「The Last Days of Oakland」/Fantastic Negrito

最近、音楽におけるプロダクションの進化が凄すぎて、少し食傷気味になったからか、ブルーズやジャズといった伝統的な音楽に注目が集まってます。日本だと音頭とか民謡ね。土着なもの。その中で出会ったブルーズアルバムがこのファンタスティックネグリート…

「Rain Tree Crow」/Rain Tree Crow

ジャパンの実質1回こっきりの再結成アルバム。ミックカーンも亡くなっちゃったから、もう再結成はないんだね。寂しいなぁ。ジャパンは本当に過小評価されてると思う。レディオヘッドはジャパンがいなかったら出てこなかったと思ってるし、ジェイムスブレイ…

「The Catastrophist」/Tortoise

音響派という名前は彼らの音を表すために作られたともいえる、音響派の始祖、トータスのニューアルバム。音ひとつひとつの粒立ちが良く、その中で空間的な音遊び、音のアートワークが繰り広げられるのが特徴の音楽なので、音楽を作る人はその機微に熱狂して…

「Ash&Ice」/KILLS

良い音楽の要素の一つに、伝統を継承しているかというのがあります。勿論、過去をぶった切るようなニューウェーブも大好きですが、それでも過去の音楽をたらふく聴いて、その中から受け継ぐものを選別することが大事だと思うのです。その点、このキルズとい…

「醒めない」/スピッツ

スピッツは本当に何も変わらないんだなぁーってことがわかる一枚。もう50歳を迎えようかって人たちが、20代の頃と変わらないキラメキを保つってどういうことか。そして今回も人がやらない言葉を混ぜたりする術が秀逸。「コグマコグマ」って(笑)最高だよね…

「教団X」/中村文則

久しぶりに小説のレビュー。ピースの又吉やら西加奈子やら人気作家も大絶賛の小説がこの教団X。基本中村文則さんの小説は暗いので、なかなか読み始める時に覚悟がいるのですが、この小説は暗いながらもそれを超える力強さがあって、グイグイ引き込まれます。…

「Schmilco」/Wilco

いま世界で最も信頼できるバンド、ウィルコのニューアルバム。今回のアルバムはとても静的なアルバム。アコギの音が前面に出て、ウィルコらしい、オーケストレーションとは別の方向の美しいアンサンブルを聞かせてくれます。オルタナカントリーの感性形のよ…

「Here」/Teenage Funclub

グラスゴーの至宝、ギターポップの良心であるティーンエイジファンクラブの新作。初期の轟音時代から、ギターの歪みが減って、王道のソングライティングにアナログライクなギターの音を突き詰めた充実期が凄い好きです。但し、ここ2作くらいは、世界の録音…

「Sly Mongoose」/Sly Mongoose

ごった煮インストバンド、スライマングースの1枚目。彼らのサードアルバムで頭をガツン!とやられて以来、とても大好きなバンドなんだけど、この1枚目をなぜか聞いてなくて。ふと聴いてみたらこれが大当たり。いやあもっと早く聞いておかなきゃいけなかった…

「DANCE TO YOU」/サニーデイ・サービス

サニーデイサービス復活後の二作目。前作は曽我部さんのソロの延長線の作品で、サニーデイ特有の夢幻の世界というより、リアリティが重視されていたように思います。元々サニーデイファンの僕としては、シンガーソングライターとしての曽我部さんも好きでは…

「Post Pop Depression」/Iggy Pop

パンクのゴッドファーザー、イギーポップの新作。今回はクィーンオブザストーンエイジのジョッシュ・オムをプロデュースに迎え、ドラムがアークティックモンキーズのメンバーだったり、実に新しい世代の音をうまく取り入れてます。イギーってどうしてもスト…

「El Camino,El Dorado」/THE BLACK COMET CLUB BAND

ZIGZOなどでも活躍する高野哲が率いるNilとTHE JUNEJULUAUGUSTが合体した6人バンドのメジャー進出となる2枚目。このバンドはとても不思議なバンド。ジュンジュラのずっと雨みたいな湿り気もありながら、Nilのカラッとした乾いた世界も同時にそこにあり。と…

「Out of Blue」/GOING UNDER GROUND

3人になったゴーイングが再生したニューアルバム。元々ゴーイングの強みはビタースィートなところだと思うんです。ただの甘いメロディーではなく、いつも苦味がそこにある。大人になるたびに苦味が増えていったのは間違いない。けれど今回のアルバムでは、…

「A Moon Shaped Pool」/Radio Head

世界で一番重要なバンドの看板をずーっと背負い続けているレディオヘッドの新作。今回は実にジョニーの色が出た作品。ジョニーのサウンドトラック仕事の影響が凄く大きいと思う。なのでオーケストラ感は強め。僕はレディオヘッドが持つ緊張感のある前衛性と…

「Kablammo!」/ASH

アッシュって不思議なバンドだなぁーって思うんです。音楽的には突飛なことはしてない、オーソドックスなロックだし、カリスマ性があるとは思えないし、歌がとてつもなく凄いトムヨークみたいな感じもない。楽器も確かな腕はあるけれど、ジョンフルシアンテ…

「Wildflowers」/The Avalanches

オーストラリアのサンプリングマッドネス集団、アヴァランチーズの2作目。1作目何年前だ?10年じゃきかないよね?ただ待たされた甲斐はあるよね。なんだろう?このマジカルな響き。開放的で、ポップだけど、中は入り組んだ万華鏡で、これがどのように出…

「Pale/みずいろの時代」/山田稔明

ゴメス・ザ・ヒットマンの山田君のニューアルバム。相変わらずのエバーグリーンなメロディーと少年性を微塵も失わない声。きれいなものだけで出来ているような手作りの音楽。いつだって期待を裏切らない山田君の刻印が押された音楽がここにある。 今回のアル…

「Paradise」/Con Brio

基本的に黒い音楽に憧れている非黒人たちの黒い音楽が大好きです。本格派ではなく、ちょっと横道逸れてるような。基本白人が黒人に憧れているような。しかもそれがヨーロッパならなお好き。MOVERや530、シゃーラタンズがそんなイメージかな。でも最近はそん…

「琥珀色の街、上海蟹の朝」/くるり

くるりの6曲入りシングル?ミニアルバム?的なやつ。ボーナスディスクに名曲満載のライブアルバムが付きます。もうここまでしないとシングルは出せないんだなぁーと感じる現在地。音楽的にはデアンジェロが提示した流れを、今東京でシティポップと言われる…

「Good Times!」/The Monkees

音楽に何でも革新を求めるんじゃないよ、と思う時があります。古き良き音楽と言うものもあり、寧ろ同じ味を期待してるんですね。そういう意味で今回まったく期待を裏切らなかったのがモンキーズのまさかの新作です。XTCのアンディパートリッジや、ウィーザー…

「The Getaway」/Red Hot Chili Peppers

レッドホットチリペッパーズ、略してホッチリ(by矢沢)の新作。もう活動しないのでは?くらいの静かな時期があって、ジョンフルシアンテという才能の塊が抜けた前作でも、悲しみのモードが強かったから、なかなか立ち直らないのかなぁ?って僕も思ってまし…

「Emily's Evolution」/Esperanza Spalding

ジャズベーシストとしても活躍するエスペランザのニューアルバム。僕は正直この人のことはあまり知らなかったんだけど、レコード屋で試聴してぶっ飛ばされて。色んな音楽が掛け合わされて、どこにもない音楽になってる。一番近いのはプリンスかな。プリンス…

「The band」/GOING UNDER GROUND

ゴーイングのニューシングル。リリースからけっこう経ちましたが。3人になったバンドの答えがこれなんじゃないかな?青春の終わりを表現するとかではなく、自然に青春後の音が鳴っている。狙いとかではなく、あくまで自然に。ビタースウィートで、余裕のある…

「Everything At Once」/Travis

もう20年選手になるグラスゴーのベテランバンド、トラヴィスの新作。この人達の場合、大傑作の2枚目、3枚目、5枚目はどれもナイジェルゴッドリッチがプロデュースで、それ以外の時はまあまあの出来栄えなので、今回のプロデューサーがマイケル・イルバートと…

「CALL」/スカート

巨漢の音楽家、澤部渡のワンマンバンド、スカートのフルアルバムとしては3枚目。今回はカクバリズムからリリース。この人は音楽だけを見つめて、音楽だけを真正面から作っている。もちろん歌詞世界とかはあるんだけど、澤部渡がどういう人かとかを考えさせ…

「A Mineral Love」/Bibio

イギリスのエレクトロニカアーティスト、Bibioの新作を。エレクトロニカというと、抽象的で、音作りがメインだったりします。このパッド美しいなーとか、このシンベの音が面白いとか。でもこの人の場合、使う音は生音、オーガニックなものが多く。しかもプロ…

「Weezer(The White Album」/Weezer

ウィーザーが出て来た時の、あの誰とも違う感じを覚えてる。僕が最初に知ったのは、今はインターFMなどで活躍中のジョージウィリアムスの家だった。カーズのリックはバッドブレインズのプロデューサーなんだよーみたいな話の流れで、このバンドはリックのプ…

「Fever Dream」/Ben Watt

ベンワットの2枚目。エブリシング・バット・ザ・ガールの人ですけど、最近のソロアルバムはギターが完全に中心で(バーナードバトラー参加!)完全にロック。しかもダウナーでアダルトな世界を突き進んでます。前のアルバムと同質の世界なんだけど、今回の…

「The Hope Six Demolition Project」/PJ Harvey

今年度ベストアルバム級の傑作が登場。僕の好きな女性アーティストはスザンヌヴェガ、クリッシーハインド、ファイストといった凛とした姿が特徴で。その筆頭と言ってよいのがPJハーヴェイ。ずっと好きなアーティスト。そのキャリアの中でも今回は最高傑作?…