「Grey Tickles,Black Pressure」/John Grant


とても不思議なアメリカのシンガーソングライターアルバム。

この人は一度リタイアした後にまた音楽を作り始め、50近くでブレイクした遅咲きであること、そして何よりゲイであることが特徴的。このゲイの美学はそこかしこに感じます。

サウンドは本当に雑多で、シンセが多用されているんだけど、どこかシンガーソングライターらしいピアノやアコースティックギターもあり、どういうアーティストなのか全く的を絞らせない。

これからはこういうシンガーソングライターが普通なんだろうなぁ。ラップもするし、ダンスミュージックもやるし、静かなピアノバラードもやるし、R&Rもある。昔のアーティストのように一枚ずつアルバムごとに変化していくのではなく、最初から雑多で、真ん中になにがあるのか絞らせない。そうなってくると、散漫になってしまいがちだけど、自分のアイデンティティが明確な人は強い。ゲイのアーティストというのはこれからも優位だってことですな。