「腹八分目」

土曜日はthe MADRASとナッヂエムオールという大人がロックバンドをやることのロールモデルのような2組の共同イベントへ。

オープニングのthe waterは間に合わず、the MADRASから。今回は橋本さんの昔のバンド、チューインガムウィークエンドの曲も披露したからか、いつものライブよりオルタナ寄りの太いイメージだったかなあ。それでもこのバンドのサウンドには絶対に贅肉が付かない。

ナッヂはいつも通りの脱力具合を見せながら、超高性能な実は入り組んだポップをサラリと聞かせる。このサラリが重要。

大人のロックバンドの素敵なところは腹八分目を自然体で出来ることだ。the MADRASのギターサウンドがわかりやすいけれど、ツインギターでありながら、2人ともシングルコイルのギターを選び、音圧勝負には出ない。二本のギターが1つの音を奏でるような、自然に絡み合い、シンプルで、そして過不足ない音を紡いでいく。

リズム隊もベースのえらちゃんがしっかりボトムを支えながら、ドラムのリコちゃんが全力ではない、絶妙なさじ加減のリズムでグルーヴを操る。ロックというよりロックンロール。ロックしてくれるリズム隊はたくさんいるけれど、ロールさせてくれるリズム隊は希少だ。

そしてその上に乗る橋本さんのメロディーと歌詞の世界も、過剰にロマンティックにも、メランコリックにもならず、底抜けにハッピーにも、死にたくなるようなダウナーにもならない。このバンドにしかない温度を体感させてくれる。微熱が体を包む。

ナッヂはもっとわかりやすい。必要な音を必要なところに、必要な温度で置いていくような、大袈裟なところは何もない音楽。サルーンのリズムは歩くように日常を進み、マコキさんのギターもコードの響きが濁らないように歪む。もちろん不要なシャウトなんか絶対にしない。必要なものを必要なだけ供給する、大人にしか出来ない高性能ポップ。サウンドの肝をいつもサポートメンバーが握ってるところに至っては、なんか有能な経営者みたいな感じだ。まあサルーンは本当に有能な経営者なんですけど。笑

大人のロックバンドが続けていくには、この絶妙な腹八分目具合が肝なのかもしれない。でもそれは若い時のガムシャラな時期があってこそのような気がする。最初からこれを目指しても、絶対に辿り着かないような。

俺もそろそろこの腹八分目を覚えても良い頃だと思うんだけど、いつも満腹を求めてしまう。なかなか大人になれませんな。もう45歳のおっさんなのに。土曜は打ち上げ前に腹減ってラーメンを食い、全力で打ち上げで盛り上がり、夜中に腹が痛くてのたうちまわってた。全てが過剰な俺の毎日。

最後のセッションではまさかのナッヂの名曲「オレンジ電車」を橋本さんが歌い、その後はbabeバージョンの「give me up」、最後は出演者全員でブラックビスケッツの「タイミング」。チューインガムウィークエンドの人がポケビの曲を歌っている!90年代の音楽ファンに見せてやりたい。これは事件だ!

このイベント、まだ続くみたいなんで、次の開催の時は行った方が良いですよ。本当に楽しい空間でした。俺も出たい。ここにこの希望を記しておこう。こっそりと。

■ライブ情報

<ソロ>

3月6日(月)喫茶スマイル
出演:金杉裕介 (無人島レコード)/エガワヒロシ/The VOUT
19:00オープン 19:30スタート

2017年4月9日(日)赤坂グラフティ
しみりえpresents「ウタノエン」
出演:イナダミホ/エガワヒロシ/シミズリエ
12:00開場/12:30開演
前売2000円/当日2500円
(ドリンク付きランチセット1400円別
(お昼のイベントになります。エガワヒロシの出番は13時過ぎになります。)

<PAVEL>

4/19(水)高円寺showboat
出演:アイラブユーベイビーズ/FF0000/PAVEL
and more…
開場 18:30/開演 19:00
前売¥2500/当日¥3000(税込・別途ドリンク代\600)

エガワヒロシのチートロたこやき>

2/25(土)3/26(日)4/30(日)
[Total Feedback]&[SundayMonday]
高円寺HIGH 高円寺ampcafe同時開催

チケット希望の方は希望人数とお名前を連絡ください。

「Grey Tickles,Black Pressure」/John Grant


とても不思議なアメリカのシンガーソングライターアルバム。

この人は一度リタイアした後にまた音楽を作り始め、50近くでブレイクした遅咲きであること、そして何よりゲイであることが特徴的。このゲイの美学はそこかしこに感じます。

サウンドは本当に雑多で、シンセが多用されているんだけど、どこかシンガーソングライターらしいピアノやアコースティックギターもあり、どういうアーティストなのか全く的を絞らせない。

これからはこういうシンガーソングライターが普通なんだろうなぁ。ラップもするし、ダンスミュージックもやるし、静かなピアノバラードもやるし、R&Rもある。昔のアーティストのように一枚ずつアルバムごとに変化していくのではなく、最初から雑多で、真ん中になにがあるのか絞らせない。そうなってくると、散漫になってしまいがちだけど、自分のアイデンティティが明確な人は強い。ゲイのアーティストというのはこれからも優位だってことですな。