EXPERIMENTAL POP FOREST

その森は風が吹かないらしい。なのでオシベからメシベへ花粉を運ぶのは音楽の役目だ。今日も右から左へ、左から右へ、音楽が小さな小さな命のカタマリを運ぶ。

そんな森へ一人の少年が迷い込んだ。少年はいつもドーナツを食べる。ドーナツは決まってオールドファッション。飲み物はジントニック。未成年のクセに。少年はお酒が大好きだ。でも薬はキライだ。世の中が曲がって見えるのが許せないらしい。でもドーナツを食べながらジントニックを飲む姿はよっぽど世界が曲がってる。少年はまったく気にならない。ミルクは絶対に飲まない。あんなもの飲んだらノドがただれる。それが少年の口癖。今日もドーナツとジントニック

森の中ではいろんな音楽が流れている。奇妙な楽団が目の前を通り過ぎる。キレイな声の女の子が「キミとボクは一緒」とささやく。でもうしろのベーシストは「キミとボクは一緒」と言いながら舌を出してる。近づけば遠ざかる、遠ざかれば近づく。奇妙な音楽だ。シド・バレットの頭の中はきっとこうなんだ。誰かがささやく。少年はうなずいた。シド・バレットってサッカー選手?

更に進むとセセラギのようなギターが聞こえてくる。とてもやさしい音。そして柔らかい歌が森を包む。この歌を歌っているのはきっと少年だろう。このギターを奏でているのはきっと老人だろう。そして二人はいつも美しい川の上にいるんだ。少年は確信した。いつまでも耳をすませながら。

そして辿りついたところは教会だった。しかしその中には誰もいない。そして中は真っ白な世界。何もない。キリストもブッタもアラーもいない。しかしそこで流れる音楽は少年の心を浄化した。ボクは神様に出会ったんだ。少年は告白する。神様はカルバンクラインのトランクスに、ビニールのスリッパ、髪の毛はモヒカンで、大分の旅館の浴衣を着ていたという。その人に名前はなかった。名前をつけてあげようかと思ったけど、少年は少し考えてやめた。

教会を出るとたくさんのペンギンがいた。ペンギンはみなジェンツーペンギンだった。少年にとても興味があるようで、何匹も寄って来た。そしてペンギンは歌を歌う。その歌はすぐそこにあるような歌だった。でもそこにしかない歌だった。本当に歌っているのはどのペンギンなのかはわからなかった。でもペンギンは気分がいいようだ。少年も気分がよくなった。

気がつくと少年は三軒茶屋太子堂商店街にいた。夢を見たのだろうか?それともジントニックで酔っ払ったのか?少年は最後のドーナツを頬張る。ノドを鳴らしながらドーナツを飲み込むと、少年はスニーカーを見た。たくさんの草がついていた、。どこか森を旅したような・・。そしてベルトのあたりには羽があった。ペンギンの羽・・。少年の耳に音楽が聞こえてきた。それはまるで、花粉を運ぶような音楽だった。


7/22(sun)@三軒茶屋グレープフルーツムーン
エガワヒロシpresents フワリカ!!PART2〜EXPERIMENTAL POP FOREST〜」  
OPEN18:30 START19:00 CHARGE 1,900円
出演 エガワヒロシ,ハタユウスケグループ[ハタユウスケ(cruyff in the bedroom)/vocal,acoustic guitar&effects,河辺靖仁(VASALLOCRAB75)/violin&synthesizer, 吉田明広(VASALLOCRAB75)/piano&synthesizer],松井敬治(the primrose),You and Me Together
VJ:HARU