川村カオリさん、ありがとう

今日は週末の楽しい日記を書こうと思ってたんだけどこんなニュースが・・・。

川村カオリ、死去
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/entertainment/wide_show/?1248774101

ボクが音楽で関わった人が初めて亡くなってしまった・・・。

ボクはこの間のアルバム「K」で「miss you」という曲を書かせてもらって、レコーディングで初めて川村さんに会った。しかもそれが最初で最後だった。でも強烈に覚えてる。

ボクは21歳の時に親友をガンで亡くしてる。その闘病の日々をずっと近くで見てた。なので、抗がん剤の強烈さは良くわかってる。抗がん剤治療をした後は、いつも何も出来ない友達の隣で、何も出来ない自分に腹が立ちながら、ただそこにいた。漫画かなんかをただ目で追って、黙って隣にいる友達を感じていた。本当に抗がん剤は強烈で、まったく人を動けなくしてしまう。そんな強烈な抗がん剤のはずなのに、抗がん剤治療の当日夕方に、川村さんはレコーディングスタジオへやってきた。そして笑いながらボクに握手を求めてきた・・・。

いつもなら笑って冗談でも言いながら、初対面の人と距離を縮めていくこのボクが、友達のことを思い出し、ただ「宜しくお願いします」としか言えなかった。そのくらいびっくりしたんだ。立ってるだけでも信じられない。そしてなんて強い人なんだ・・・とそっと見つめていた。

ボクは川村さんのことを何も知らない。でも僕らは曲のやりとりをしている。「miss you」の歌詞はボクと川村さんの共作だ。これはボクの作ったデモに入っていたサビの歌詞を川村さんが気に入ってくれて、使ってくれたのだった。ボクの作った言葉は、川村さんの世界の中に入り、川村さんの声で伝わることで、とても、とても力強い言葉になった。ボクの作ったメロディーは川村さんの言葉が乗って、さらに美しくなった。ボクの大切な曲に命を吹き込んでくれた。本当に嬉しかった。たたありがとうと今は伝えたい。



今年はひどい年だ。どれだけミュージシャンを奪えば気が済むんだ。しかしボクはそんな悲しい年の中で、巡る命を感じている。この悲しい気持ちの中で、いつもボクの心を引き上げてくれるのは、嫁のお腹にいる赤ちゃんだ。そう、人が亡くなり、そして生まれる。そこには誰も逆らえない。そんな当たり前のことがボクの頭の中を駆け巡る。


今週土曜日のライブでは「miss you」を歌おう。僕にできる数少ない供養だ。そして世界が少しでも笑顔になるように、たくさんの美しい曲を作ろう。笑える曲も作ろう。飛び上がるような曲も作ろう。それが残されたボク等の使命じゃないかな。バトンを託された音楽仲間として。


川村さん、お疲れ様でした。そしてありがとう。ボクは川村さんのようには生きられないけど、ボクもがんばって曲を作り続けます。そして命が尽きる瞬間まで目を開いて生きていきます。