エガワヒロシ×田村直希#5

田村君写真とボクの文章のコラボ5回目

「曲がり角」

曲がり角を曲がったら、どんな世界が待っているのだろう?

ボクを曲がり角へ向かわせたのは、そんな好奇心ではなく、

未来への期待でもなく、ただ現在地にいることへの不安感だった。

どうにか曲がり角の前まで進んで来たボクを出迎えたのは、

濃くなっていくばかりの夕闇だった。

薄明かりをキミの笑顔かと思って振り向くと、

そこで笑っているのは見ず知らずの老婆。

老婆は向こう側を指差している。

ボクは無意識にその場所へ進む。

その指先が指す場所を、ある人は希望と呼ぶ。

ボクには墓場としか思えないんだけどさ。

ただそれでもボクはあの曲がり角の先を目指す。

それがボクの本能。それがボクの行く道。

もしかしたら逃げ道かもしれないけれど。

そしてきっと、その角を曲がったら、

薄暗い、小さな、名もない通りが待っている。

その通りに名前をつけたとき、ボクの人生は始まる。

薄暗いスタートが、ボクを待っている。

スタートなんてそんなもんさ。

光が射す場所は、スタート地点なんかじゃないんだ。

その先に光があるからスタートなんだ。

暗闇よこんにちは。さあこの通りに名前をつけよう。

ボクにぴったりの名前をつけよう。



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