「The Magic Whip」/Blur

ブラ―まさかの新譜です。僕はこの人達の1枚目から3枚目にめちゃくちゃ影響を受けました。

これまでのひねくれたポップをやる人たちって、学者肌的な人が多くて、フィジカルが足りない人が多かった。でもブラーはデーモンがやんちゃな暴れん坊ぶりを発揮し、グレアムがそれにこたえてギターを爆発させる。でもやってる音楽は沢山の音楽要素を混ぜ込んだ、頭で作られたようなポップ。そんな今まで重なり合うことはなかったものが交わって、最高に脳にも体にも魅力的でパワフルな音楽を作ってくれたわけです。

まあでも、ブリットポップという名札の大きさに4枚目で潰れ、そこからの脱却でアメリカの埃っぽさを吸い込んで成功した5枚目、その副作用で少しずつ崩れ始めた6枚目、完全にバンドが崩壊してデーモンのソロと化した7枚目へと進んでバンドは活動を止めるわけです。

そんなブラーがロンドンオリンピック辺りからまさかの復活!しかも新譜が!そしてグレアムが復帰した今回のブラーは、デーモンがゴリラズ以降に体得した無国籍感と、ブラー独特な英国ポップ感がしっかりかみ合って、昔のブラーを思い出させながら、新しさもどこかにある、とても腑に落ちる仕上がりでした。俺はやっぱり思うけど、ブラーってのはデーモンがむちゃくちゃやって、その後ろでグレアムのギターが鳴ってればいいんじゃないかな?そうすればブラーになるような気がします。アレックスとデイヴには悪いけど。

さすがに昔のキラキラ感はないけれど、もういいおっさんですからね。今回のアルバムは僕が考える大人のブラーととてもぴったりはまるアルバムです。昔グレアムの写真を持って美容室に行った僕としても満足。次がまだあるんじゃないかな?これは。