「B'lieve I'm Goin Down…」/Kurt Vile

アメリカインディー界が誇るギターを抱えた吟遊詩人、カート・ヴァイルのニューアルバム。

白昼夢を見ているような、眠りながら暮らしているような、靄のかかったサウンドと朴訥としたメロディーが魅力の人ですが、今回はサイケデリック色が後退。実に地に足の着いたシンガーソングライターアルバムになってます。音自体がメジャーというか、きれいなまともに良い音になったおかげで、本格派のイメージが強く出て。元々メロディー作りは長けてるし、ギターは上手いし、実力のある人ですけど、これだけ真正面から作ったアルバムでも、どこかねじれて聞こえるのはボーカルですかね。真正面から作った故に、この人のオリジナリティーもかえって強調されたのかな。

おそらくこれからもアメリカインディーの中で孤高の位置を守り続けることになりそうですね。地味に引っ張る存在。今作は衝撃的傑作ではないですが、とても充実した作品だと思います。