「CALL」/スカート


巨漢の音楽家澤部渡のワンマンバンド、スカートのフルアルバムとしては3枚目。今回はカクバリズムからリリース。

この人は音楽だけを見つめて、音楽だけを真正面から作っている。もちろん歌詞世界とかはあるんだけど、澤部渡がどういう人かとかを考えさせる隙間がない。そういう意味ではシンガーソングライターなのに作家的な雰囲気がある。トッドラングレンと同じで、音楽だけを提供する人だね。

でもそれがとても間口は広く、わかりやすい音楽なのは面白い。でもこんだけメロディアスで、美しいメロディーなのに、どこか笑顔で近づいてくる感じがないのは声なのかな。どこか声に簡単に人を寄せ付けない雰囲気がある。カーネーションの直枝さん直系の歌だけれど、どこか懐に踏み込ませない感じも似てるかな。

この人の音楽を聴くと時流だとか、音響的な流行りとか、そんなことを気にする時間があったら、メロディーとコード、そして楽器の鳴り、それだけに集中するのが正しいんだという気概が見れる。純粋音楽家としてのこだわり。死ぬほど純粋に作られた砂糖の甘さ。

僕は自分が雑味の人だと思っているので、同じように隙間のポップミュージックを作っているところや、出来上がった音楽は近いと思うけど、たぶん真逆の音楽。僕のはもっといやらしく、汚れている。でもとてもシンパシーの持てる音楽で好きだな。

こういう音楽がもっと売れたら、日本も面白いんだけどな。そろそろロッキンオン的じゃない音楽、純粋に音楽的な音楽の流れが来るんじゃないかと思っているんだけど。メロディーと歌詞がしっかりしているただの音楽。しかも音響に逃げない音楽。俺も作らないとな。