「The Catastrophist」/Tortoise


音響派という名前は彼らの音を表すために作られたともいえる、音響派の始祖、トータスのニューアルバム。

音ひとつひとつの粒立ちが良く、その中で空間的な音遊び、音のアートワークが繰り広げられるのが特徴の音楽なので、音楽を作る人はその機微に熱狂してハマりやすい。でも、音楽を熱心に聴く人以外にはなかなか伝わりにくいものでもあるのが音響派の世界。

でも今回のアルバムは、そこから別に世界を変えたわけでもないのに、何か間口が広がって聞こえます。別に特にポップになったとか、「ソング」を意識し始めたとか、そんなことはないので、たぶん音そのものがポップになったのか、時代が変わったのか。そのどっちかでしょうね。

そして音楽がデジタル録音になって、限りなく無限にサウンドスケープを広げることが可能になる中、ポップの世界はどんどん複雑怪奇なサウンドに突き進み、100トラック当たり前の世界になってる。でも逆にトータスのようなアバンギャルド寄りの人達はシンプルな音に傾倒し始め、一つの音を極めようとしてる。どちらがアバンギャルドなのか?って感じなんだけど、逆にどちらも面白い時代なのかもしれない。

アルバム聴いてひとつ思ったのは、デヴィッドボウイと一緒にアルバム作って欲しかったなぁーてこと。絶対合うと思うなぁ。このサウンドにあの声が鳴ったら。もうその妄想が現実になることはないんだなぁ。