クマ


音楽を作り終わった翌日、鏡の前に行くと目の下に漆黒のブラックホールが出来ているのを見つけます。あ、クマのとことです。クマ。光を吸い込んだりはしませんし、相対性理論とかは関係ありません。

元々クマは出来やすいので、いつもドス黒い不健康な表情をしてるんですが、音楽を本気で作った後は顕著に漆黒が広がります。なんだこの不吉な顔の人は?

それを見るといつも、あぁ、俺も何かを削りながら音楽を作ってるんだなぁーと感じます。別に音楽を作ることが苦しいわけでは無いし、むしろ過去最高に音楽を作るのは楽しくなってます。でも過去最高に夢中になっている分、何かタガが外れているような。

でもね、作詞作曲家なんてものを生業にしようと思ったら、そのくらいやらないと採用なんてされないんですよ。アレンジは誰かやってくれないかなー?とか、バンドのボツ曲でも送っておくかとか、そんなので作曲家面してる人たまにいますけど、そんな甘い世界ではないです。音楽に夢中になってる人、作ることにタガが外れてる人にしか出せない何かがあるんです。そんなものが匂い立つようになってから、それからスタート。そこはまだスタート。そこから本当にセンス勝負になる。

1つ終わるとまた次がやって来ます。目の下のブラックホールが収まる頃にはまた新しいブラックホールが現れる。ブラックホール永久運動。でもそれが自分の選んだ仕事なんだと思って今日もプロトゥールスを立ち上げます。

次はどんな曲を作ろうか。自分の頭の中に浮かんだ曲を現実化していく作業。それは昨日までの自分と今日の自分のセッションのよう。二十歳でバンドを解散させてから、デビューする28歳になる直前まで、人前に全く出ることなく、ライブを一本もやることなく暗い部屋で自分の音楽を作ってました。結局今もそこから一歩も外に出ていない気がする。同じ所を回り続けてる。そんな風にして折り重ねた自分の音楽汁。その濃厚なものをメロディーと歌詞にして提出してます。まだ足りない。全然足りない。もっと音楽に夢中になりたい。

クマよ永遠なれ。クロスロードで魂でも売るか。名もないアクマに。