ハゲの予兆

 

 


48歳になって早々ハゲの話。定期的にお届けするネバーハゲンディングストーリー。

 


ハゲるということを、髪の生える面積が減ることだと思っている人が多い。いや最終的には面積が無くなっていくのがハゲだ。間違いない。でも予兆の段階、1番悲しい時期はそういうことではない。

 


ではどういうことかといえば、それは細くなるのだ。本数は変わらない。けど髪が細くなるのだ。すると占有する面積が結果的に減少することになる。いままで100本でまかなえていた面積が、200本必要になる。それがハゲの始まりだ。

 


しかし、細くなっているかどうかというのは、なかなか見分けがつきにくい。気がつくほど細くなった時にはもう手遅れ。そこにはスダレ化が始まっており、それは痛恨の一撃となってあなたのイメージを急速にハゲに吸い寄せる。またはがぶり寄る。トゥナイト2でお馴染み、荒勢の温泉がぶり寄りだ。そしてそこまで行ったら後戻りは不可能。行事の差し違えなど存在しない。

 


ではその手前、まだ取り返せる時期、間に合う予兆、気がつく予兆はないのだろうか?

そして発見した。ハゲのツボミを。大事な潮目を。本当の予兆を。私は発見した。

 


それはクセだ。クセが強い!のクセだ。みんな人それぞれ程度の差があれど、髪の流れにはクセがある。そのクセ通りに髪型が整う人は良いが、だいたいの人は少し髪に無理を言って進む方向を変えている。君が右派だということはわかっているけれど、少し左寄りにうねってはくれまいか?そんな駆け引きが頭髪で行われる、頭髪的ネゴシエーション。そして元気な髪の時にはその願いは受け入れられ、髪型は保たれる。

しかし、ある日クーデターは起こる。いつも静かに左寄りの採決をしてくれた髪が、急に右へカーブを切る。軍隊は必要でしょう!企業優先!小さな政府!と唱え出す。いわば髪のクーデター。それは髪がクセに負ける瞬間。

 


これです。それなんです。これこそがハゲの予兆。ハゲはクーデターから始まるんです。コシがクセに負ける瞬間。ハゲの音が聞こえる時。

 


まあ考えれば簡単な話です。髪のクセに負けないためには、それなりのコシが必要になる。コシというのは太さと直結している。コシがないというのは、そろそろ細くなりますよ、夏バテで素麺しか食べられなくなってますよ、ちょっと弱ってますねぇ、そういうことだ。危険なアラームが小さく鳴っている。今、髪に養分を与ればまだ間に合うかもしれない。ギリギリガールズ間に合うかもしれない。コシに負けた髪はスダレへと邁進する。全てのスダレはハゲへと帰結する。全てのスダレはハゲに通ず。

 


そして!僕の頭髪にクーデター勃発!それは前髪よりもちょい手前の真ん中部分。ここの髪がコシに負け始めた。いつも左におとなしく従っていたのに、鬼のツノのようにニョキッと!妖怪レーダーのようにピン!と!なんだか急に逆らい、大きな声で主張を始めた。これは危険なアラーム!ハゲの予兆!エマージェンシーコール!誰か!毛生え薬を!コシが出るシャンプーを!

 


ということで、48歳になった今、1番気になるのは髪のコシです。シャンプーなんてコシがあればいい。サラサラってなんだよ。サラサラは血液だけで良い。またはお茶漬け。コシ。とにかくコシ。

 


あぁ、もう48歳なんだから、ハゲくらい受け入れるべきかもしれない。おじさんであることにはすっかり慣れて、若くないことは笑い飛ばしている。なのにハゲを受け入れられないなんて人間が小さくない?そんな風にも思う。でも、できればハゲたくない。頭髪はあった方が良い。頭髪とお金はあった方が良い。なくてもしょうがないけど、あった方が良い。あぁ。30代でスダレだったうちの父親はどう思ってたんだろう?

 


元オランダ代表のスナイデルに謝りたい。ケナイデルなんて言ってゴメンなさい。きっとこれはケナイデルの呪いだ。いや、スナイデルの呪いか。スナイダーって言えばいいのか?ケナイダー?あぁ、とにかくごめんなさい。

 


みんなコシですよ。コシ。コシが全て。オール・ユー・ニード・イズ・コシ。そういえばビートルズってみんなハゲないね。うまやらしい。