善意のナイフ

f:id:egawahiroshi:20210721153552j:image

 

 

 

都市伝説とか陰謀論とかって、眉唾である事を共通認識として持っていて、それでももしかしたら?というファンタジーを愉しむものであったはず。言わばプロレス的な。その認識の上でなら物凄く楽しめたし、僕はどっちかと言えばそんな類の話が好きな人だった。

 

 

 

でもある日、遠い親類がイルミナティカードについて熱く語り出し、それを僕が知ってる事がわかると、物凄い喜んでいろんな資料を持ち出して来た。そう、その人はひとつの曇りもなくそんな出来事を信じ切っているのだった。そうかもしれないねー、じゃなく、そうなんですよ!という断定。僕が信じきっていない事がわかった時の彼のがっかりした顔が忘れられない。東京じゃ常識なんだよね!と言われた時の戸惑いたるや。

 

 

 

そして先週末、灼熱の某駅前では、20人程度の団体がワクチンの危険性についてシュプレヒコールを繰り返していた。勿論その危険性を訴える情報ソースは科学者の論文などであるはずはなく、YouTubeTwitterを元にした情報だった。どれも悪の組織の陰謀が…的なもの。昔からそんなものを信じてる人はいたし、トチ狂った宗教団体はいたけれど、こんな風に市井の人々が、こんなに集団でトンデモ情報を人に押し付ける光景を目にするとは…。

 

 

 

近所のスーパーの前で、ぶっつぶせ的な政党の演説を見た時も思ったけれど、もうこんな振り切れた人達が普通に存在するんだという事を強く感じた。しかもその人達は恐らく悪い人達じゃない。素直で、人を信じる人達。そんな事をしているのは善意から。でも今1番怖いのは善意なんだと思う。集団の善意。善意がナイフになる怖い世界に今生きているんだと強く感じた。

 

 

 

いつのまにか、善意のナイフをお互いに突きつけながら生きる世界になってしまった。日本人の同調圧力が、とか言うけどもう日本だけじゃないよね。世界中で起きてる事。過去もほじくり返して、善意のナイフを刺す対象を探し回ってる。そこら中、善意の病に冒されたゾンビだらけだよ。でも自分もその一員である事を忘れずに、何が出来るか考えたい。善意が上手く転がる何かを。