シャーデンフロイデ

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学者としても、女性としても大好きな中野信子さんの「シャーデンフロイデ」読了。

 

 

 

このオリンピックカオスの中で繰り広げられる、正義の名の下に行われる粗探し祭。その理由が脳科学的に説明されてて、とても腑に落ちました。

 

 

 

結局人間は集団で生きる事で生き延びてきた種族であるため、個よりも集団を優先するように脳が仕組まれている。そしてその集団を守る為に「論理」を最優先し、それにそぐわないものは攻撃して良いと脳が命令する。集団の論理に従わないものは集団を崩壊させる可能性のあるものとして排除の対象となり、そんな存在への攻撃は正義の行為として認識される。

さらに人類は過去に戦って生き残って来た人間の子孫であり、戦いを好む事が脳に刻み込まれている(戦闘ゲームの多い事!)。正義の攻撃が成功すればドーパミンが放出され、人は快楽という報酬を得る。しかも今時のネットの匿名的な場所での攻撃ならば、自分が攻撃されるリスクもない為、人々は安易に正義を振りかざし、快楽を得て、正義中毒にのめり込んでいく。そして今日も誰かの過去の過ちを探し出し、徹底的に糾弾する。クリック一つで。

 

 

 

なるほどなーと唸ってしまった。もうとにかく正義とか、論理とか、愛とか、そういうものが攻撃性を生んでいる事を自覚しないといけない。正義だから、愛だから、誰かの為だから正しいんだという波に飲み込まれるのは怖い。正義や愛が全てを焼き尽くす前に、落ち着いて周りを見渡さないといけない。自分も疑わないといけない。

 

 

 

そして人はチーム分けされただけで自分の集団を守る為に攻撃的になるんだという。自分はアナーキストではないけれど、もう人種とか国とかぐっちゃに混ざり合って、何が何だかわからなくなるか、人類全ての敵のような宇宙人でもあらわれるかしないと、平和というのはやって来ないのかもしれない。そんな世知辛い事は言いたくないけれど、脳的にはそういう事らしい。「みんな違ってみんな良い」は、なかなか難しいんだなぁ。

 

 

 

結局全ては生き物として生き延びる為に脳に仕組まれたもの。戦争を産むのは悪じゃなくて、それぞれの正義だし、軋轢を生むのも愛情と仲間意識だし、全ては社会の為に向けられ、個人はいつしか握りつぶされる。脳の話は本当に面白いけれど、とても恐ろしくやり切れない。愛情も脳の動きで定義出来るんだもんね。俺の愛情もそんな脳の動きの一つなのかね。

 


#中野信子

#シャーデンフロイデ