キラーズ

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今時は王道のロックバンドというのは絶滅危機種だ。80年代から90年代にかけてのU2みたいな「どうだ!」って態度のバンドもいなくなった。それ以降メインストリームに立ったのはレッチリやアーケードファイアといった、必ず変化球を混ぜるバンドだったように思う。

 

 

 

U2後を担った叙情的でスケールの大きなバンドの中で、最も大きな存在になってるのがコールドプレイ。U2に倣ってイーノをプロデューサーに迎えたけれど、ボノ的なクリスマーティンは居ても、エッジ不在の物足りなさを露呈。それならとダンス畑と組む事に舵を切った。そしてそれは大成功。時流にしっかり乗って、その上でソングライティングの巧みさも発揮。今じゃ誰もが認めるトップバンド。その判断力が秀逸。

 

 

 

もう一つのU2後を担ったバンドのトラヴィスは、時流には全く目を向けず、頑固一徹の職人の姿勢で音楽を作り続け、スタジアムバンドになった。ソングライティングと歌、そしてそれを邪魔しないサウンド。この方程式を絶体に崩さない。ぶれない姿勢が秀逸。

 

 

 

じゃあ同じように叙情的でスケールの大きなバンドにキラーズがいる。アメリカ代表ビッグロックバンド。キラーズにはどのバンドにも負けないソングライティングがある。歌も良い。バンドも巧み。でも時流に乗れるほど鼻は効かない。明らかにブルーススプリングスティーンフォロワーでありながら、スミスやエレポップも意識しちゃうのでブレはあちらこちらに見られる。なんというかゴールドプレイほど上手くやってないし、トラヴィスほど尊敬もされてない。そんな感じ。

 


でも、ファンとしてはその煮え切らない感じがたまらない。カッコつけても完全にはサマにならず、それでも気取る中2的な感じがこのバンドの魅力だと思う。その上で音楽には芯のようなものも感じるし、良いメロディーだし、盛り上がるし。本当に良い音楽だなぁーって思う。

 

 

 

今の音楽シーンにはキラーズが足りない気がする。みんなちゃんと上手いか、捻って上手く着地するかどっちか。それか病んでるか。無骨に真っ直ぐがいない。不器用な、センスの無さを情熱で埋めちゃうようなバンドが見たい。キラーズはそんなバンド。そんなのおじさんしか求めてないのかもしれないけど。

 

 

 

キラーズ好きだなぁ。ただそれが言いたかっただけなんだけどね。良いバンドですよ。ラスベガスの砂漠に咲いた徒花。素朴なのにそれはとても美しい。頑張れキラーズ。頑張れベアーズ的な感じで。