煎餅布団

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今は羽毛布団で寝ているけれど、僕の実家には羽毛布団なんていうフカフカしたものは無かった。実家は貧しくはないが裕福でもなく、いつだって煎餅布団が僕の寝床だった。今考えたらなんて重たい布団で寝てたんだろうと思うけれど、僕はあの重い布団に押し潰されながらも、特に問題なく熟睡していた。いつも姉と兄にペチャンコに押しつぶされながら生きてた、毒舌一家の虐げられた末っ子的には、あの重さは日常と同じだったのかもしれない。

 

 

 

特に虐待されたわけじゃないし、愛されて育ったとは思ってるけれど、毒舌一家で褒められることなく育ったのは、色々マイナスな面があるなと最近感じてる。特に自己肯定感のあるたおの自信満々な振る舞いを見ると、そんな育てられ方してたら、ちょっと今の自分とは違う人生があったんじゃないか?とも思う。でもそっちの人生が今の人生より楽しかったかどうかもわからない。だからそんなに親を恨んだり、誰かを妬んだりはしてない。それぞれの境遇には良い所も悪い所もある。何でもかんでも親のせいにしててもしょうがないしね。親ガチャが!って恨んでるうちはずっと外れくじのままだよ。

 

 

 

僕の煎餅布団の人生は、押し潰されることなく続いている。我が家の家系の精神の弱さを考えれば、潰れていてもおかしくは無かったけれど、なんとか切り抜けて来た。ギリギリの時もあった。でも気が触れることなくここまでやって来れた。自分で自分を褒めるほどじゃないけれど、非難轟々とまではいかない。そのくらいの頑張り具合。

 

 

 

僕は今でも冷たい煎餅布団の感触を覚えている。今でも冷たい布団が好きだ。誰もいない、ひんやりと冷たい布団。その冷たい布団が、だんだん自分の体温で温まっていく。その過程がとても好きです。自分の体温を感じられるのが良いのかもしれない。自分が生きている事を感じられるのかもしれない。そして僕は瞼を閉じて眠る。眠れない夜も多くあるけれど。不眠症気味なんで。