スーパーマン

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昔はサウンドアレンジと言っても才能溢れる人が頭の中で組み立て、それを譜面にして現場でアレンジをしていった。レコーディングでは凄腕スタジオミュージャンが呼ばれ、その場で細かい所のアイデアを惜しげもなく提供してくれて、その曲が出来上がっていく。そしてそんな数々の魔法のような音をエンジニアが最適な音に磨いていく。まさにスタジオマジック。これが数々の名盤を作り出した、かつての音楽制作の形。

 

 

 

しかし今では、オーケストラだろうがなんだろうが、デスクトップで再現できるようになった。本物の音じゃなかったとしても、アレンジの雰囲気はわかる。今までは頭の中で組み立てなきゃいけなかったものが、目に見える形で組み立てられるようになった。これで音楽の敷居は下がった。頭の中では組み立てられない人も、サウンド作りに参入した。そして何度もやり直し、熟考できるので、サウンドの方向性は緻密にはなっていく。でもその分、独りよがりにもなって、大らかさは消えていった気がする。全てが密室的。それが今のサウンド

 

 

 

そして求められる仕事の種類は変わり、音作りが何より大事になっていった。スタジオに入って音楽を作るわけではなく、自宅で録音を積み重ねる。フレーズは吟味して試したり出来る事で、ある程度のクオリティには到達しやすくなった。しかし家でそのサウンドを作るので、その時点で音を磨き上げないといけない。やってる事はもうエンジニアのそれ。良い音を出せば良いのではなく、使える音を作る技。こうしてアレンジャーの仕事の半分はエンジニアとしての仕事になっていった。気がする。

 

 

 

良い音を出すのは大事。でも今は得意な楽器だけではなく、全ての楽器の良い音を求められる。結局ハードルは下がったのか?上がったのか?どっちなんだろう?最近良く考える。

 

 

 

僕は作曲家の酷いデモテープの時代を知ってる世代の人。あの人達には今の人達みたいな総合的な力はなかった。けれど、特別なメロディーを作る力はあったと思う。というか求められたのはそれだけだった。

 

 

 

今はメロディーも歌詞も書けて歌も歌えてサウンドも作れてミックスも出来なきゃいけない。テクノロジーの助けは多分にあるとはいえ。だからこそチームで作る人が増えたんだけどね。そしてそれは正解だと思うなぁ。さらにチームを作るという事は、コミュニケーション能力、リーダーシップも求められるという事。ひえー!そんなスーパー人間にならないといけないのか!エリート!音楽なんてどっか欠けてる人が作れるんだと思うんだけどねえ。そんなこと言うと「そんな甘えんな!」って言われてTwitter辺りで炎上するんかな。みんなスーパーマンにならないと。そういう世界なんだろうな。今は。きっと。

 

 

 

まあやれる事をやって、やれない事はコツコツと出来る様に持って行く。それしかないよね。それかコミュニケーション能力の方か。僕はそっちの方が向いてると思われがちですけど、バンドも出来ない人間なんですよ。実は。なので今日もコツコツ頑張っております。頑張れば良いもんじゃないけどね。音楽って。