完璧の矛盾

 

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昨日はthe MADRASのアコースティックワンマンへ。多分1番ライブを見てるバンドはthe MADRAS

 

 

 

マドラス(英語で書くの面倒になったw)の音楽はロックンロールだけど、優しいメロディーや深い言葉で形作られているので、実は轟音を必要としない。それが良くわかるのがアコースティック。

 

 

 

今回はリコ君がカホン(一部エレキ)で、木下君はアコギ8割。えらちゃんはエレキベースで、カメダ君がそこにピアノやオルガンで色を添える編成。

この編成だと木下君のコードプログレッションの豊かさが際立つ。ストロークするだけでリフになる練られたコードの妙味。またリズム隊も小さな音で繊細に音を刻むので、キレや表情が良く見える。とても歌うベース、そして歌に寄り添うカホンのリズム。これは絶対歌いやすいはず。そしてカメダ君は適切なコード、フレーズを的確に入れていく。しかも橋本さんの歌が、そのしっかりしたプロダクションに負けないくらい、しっかりと歌われる。

 

そんな風には思ってなかったけれど、この編成で聴くマドラスの曲はシティポップと言っても良いくらい芳醇な音楽だった。これには脱帽。曲が良い事に加え、やっぱりメンバーが手練れ。キッチリとした、完成度の高い演奏が続く。

 

 

 

しかしライブの途中。ある曲で、歌い始めた橋本さんが曲をストップさせる。とても珍しいパターン。聞いててもそんな止めるまでのミスがあったようには思えなかった。でも、そこに僕は橋本さんのバンドマンとしての肌感覚が働いたように見えた。完成度の高いポップバンドのような演奏を求め、それが達成された瞬間、急に生まれる異和感マドラスはロックンロールバンドであるという信念。根幹。そんなものが素晴らしい演奏にストップをかける。

 

 

 

いや素晴らしい演奏が悪いわけはない。でもロックンロールバンドとは、上手いだけでは、キッチリしてるだけではダメなんだと思う。どこかが過剰で、どこがが歪でなければいけない。この繰り広げられたキッチリと素晴らしい演奏に橋本さんは異を唱えた。自らそれを求めながら。

その後のマドラスは完成度はそのままに、ロックンロールバンドの揺らぎやヒリヒリする感覚を取り戻していく。バラバラに壊れそうになるくらいスピードを上げながら、壊れる事なく完走するスリル。全員で揺らぎ、全員で転がり回る恐竜のような音。これぞまさにロックンロールバンド。野生の音楽。繊細なアコースティックなのに。繊細に演奏しているのに。音の完成度は高いままなのに。

 

 

 

結局意識というか、魂というか、そういう目に見えないものの仕業だと感じる。ロックンロールは神秘的な音楽。理路整然と線を描けば出来上がるわけじゃない。あんな完成度を誇りながら、そんな事を考えたんじゃないかな?橋本孝志という人は。マドラスというバンドは。

 

 

 

なんて本人からも聞いてないし、本当の事はわからない。これは僕の完全な妄想。けどそんな事を考えるくらい完成度が高かった事。マドラスはやっぱりロックンロールバンドだった事。その二つは強調しておきたいかな。

 

 

 

以上、最早バンド専属リポーターからの報告でした。それではスタジオさんにお返しします。スタジオの橋本さーん!