楳図かずお先生が亡くなった。僕はまことちゃんはリアルタイムでは間に合ってなかったし、リアルタイムで読めたのは高校生くらいで読んだ「14歳」になる。チキンジョージ博士ね。あれは強烈だった。
でも最初に触れたのは小学校5、6年生くらいに読んだ「漂流教室」。テレビドラマになる結構前。友達が読んでて、それを読ませてもらったらガッツリハマった。
「漂流教室」を読んだ時、漫画に出てくる子供達と自分は同世代だった。だからなのか、あの物語がとてもリアルに感じられて、とても怖かったし、その物語の世界に没頭した。読み終わるまで次が気になってしょうがなくて、友達の家に入り浸った。
物語の中で、大人は現代社会に馴染んでしまっているから、新しい環境に適応出来なかった。そしてみんながみんな、狂っていった。そんな大人が怖かった。そんな大人になる事も怖かった。だからなのか現代に馴染み切った人、全部わかったように振る舞う人にとても違和感がある。それはこの物語に植え付けられたトラウマなのかもしれない。わかったらいけない、馴染みすぎたらいけない。そんな警報がいつも鳴っている。世界はそんな簡単なものじゃないと、「漂流教室」が告げている。
あと子育ての前提として考えてる「避難所でも生きていける人に育てる」という考えも、漂流教室にルーツがある気がする。どんな所でも生きていける人にしようと考えている。落ちたものも食べられる人。床で寝られる人。川で体を洗える人。古い缶詰も食べられる人。
こう考えていくと、思ったより楳図かずお先生には影響を受けてる気がする。やっぱり思春期に触れたものというのは大きい。物語の中に頭を突っ込むようにして読んだものは、体のどこかに棲み着いている。そしてそれは消えない。本でも漫画でも、映画でも、そして音楽でも。自分を作った大切なもの。
楳図かずお先生、どうもありがとうございました。ご冥福をお祈りします。