エガワヒロシ的2024年ベストアルバム(日本)

 

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ベストアルバム日本編。日本だと言葉が分かるって事と、やっぱり日本の音楽事情もわかるので、細かい所まで考えちゃうかな。音楽だけじゃなくなっちゃうというか。まあ日本人なんで、その感覚に従順に。順番はまた緩やかに個人的な順位です。


aiko「残心残暑」

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もう「相思相愛」という名曲をまた作り上げたって事に尽きる。名曲「カブトムシ」と肩を並べるくらいの曲をまた作るってのは本当の天才にしか出来ない。普通のミュージシャンならピークはあっても一回。何回も来るのはスーパースター。他の曲も良い曲だし、サウンドも気が利いてる。チームaikoのバックアップがあってこそだけど、才能の勝利だと思う。


柴田聡子「my favorite things」

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良い歌い手、それも特別な歌い手にはその人にしかない「湿度」があると思ってる。温度は歌い方や曲調に左右されるけど、「湿度」は違う。aikoやこの柴田聡子さんもそんな歌い手。メロディーも歌詞もサウンドも素晴らしいけれど、とにかくこの「湿度」が特別すぎる。この歌は、聴いている間に必ずどこかの特別な空間へと導いてくれる。絶対的な女性シンガーソングライターだと思ってます。


高野寛「modern vintage future」

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高野さんは、しばらく自身の出自の一つであるYMOニューウェーブという「トリッキー」なものから少し距離を置いて、本質的な音楽というものを探究してるように見えてました。そんな高野さんが肩の力を抜いて、また出自に向き合ったアルバムを出して来た。彼のそんな部分が大好きだった自分としては、それがとても嬉しく感じました。高野さんがバンマスを務めた、YMOチルドレンのライブが大きかったのかなぁ?あのライブを見に行けたのは、とても良かったなと感じてます。


adieu「adieu4」

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上白石萌歌という稀有な歌い手に、優秀な制作チームが付いて、優秀なミュージシャンを集め、魅力的な楽曲を作った。至極真っ当なプロジェクト。今自分が1番参加したいプロジェクトは何?と聞かれたらadieuと答えます。音楽自体を作ってる人の才能はわかってるから、これを企画した人の話を聞いてみたい。担当ディレクターに会いたくなったアルバム。


眉村ちあき「うふふ」

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弾き語りトラックメイカーアイドルという特別な肩書きと、株をファンに売って会社を立ち上げるバイタリティー。そこに類稀な言語センスとポップ極まりない声(カップヌードルのCMに起用)が乗ると、不思議なポップミュージックが出来上がる。何とも新しい立ち位置を発明した人。ずっと好き。


浦上想起「遊泳の音楽」

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所謂チェンバーポップの系譜にあるけれど、ジャズのエッセンスが上手く配合されて、とても軽やかで、ウキウキする特別な音楽になってる。小難しくなってもおかしくないその音楽の風通しは異常に良く、ちゃんとポップスに着地。その手腕は見事と言うしかない。未来的ビーチボーイズって感じに自分は受け止めてます。


maya ongaku「electric phantoms」

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どこから現れたのか、とろける様なサイケデリックミュージックを作る新人バンドの6曲入りEP。まだゆらゆら帝国の後期や、オウガユーアスホールの影響下にあるようには感じるけれど、何か特別な物がありそうな予感。今の日本独自の音楽とは、YOASOBIみたいな複雑怪奇なスピード感のある音楽か、このmaya ongakuみたいな侘び寂びの世界に二極化されると思ってる。そしてその二極を軸に、日本音楽は世界に出て行く気がしてます。


米津玄師「lost corner」

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藤井風というナチュラルな天才が出て来た事で、米津玄師という色んな物を食い散らかしながら異常に発達していく、化合物の怪物感はより目立つようなった。そんな進化を見ると秀才と言う人もいるだろうけど、こんなに異物混入してもバランスを取り続けるのはやっぱり天才だと思う。しかも絶対にポップに着地する、聴き手を意識してる所が凄い。今回もポップ一大絵巻アルバムでした。お腹いっぱい。


いちやなぎ「IRAHAI」

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この人も浦上想起のようにチェンバーポップの範疇に入るとは思うんだけど、もっとラフにギターが鳴るインディーミュージック感が強い。エレファント6周辺のバンドに近い感触。そして特色は物語的な歌詞。今調べたら小説とかも書いてるらしい。さらに京都在住。ふむ。やっぱり京都には呼ばれる何かがあるようだ。


他に良かったのは折坂悠太、ハンバートハンバート、アイナ・ジ・エンド、Barbara、大橋トリオ、&.(anddot)、ライブも良かった阿部 芙蓉美、Wurtsかな。今見ると歪んだらギターでって感じより、ポップスマナーの人を聴く事が多かった気がします。


明日はヨーロッパ、カナダ・中南米編です。