「Out of Blue」/GOING UNDER GROUND

3人になったゴーイングが再生したニューアルバム。

元々ゴーイングの強みはビタースィートなところだと思うんです。ただの甘いメロディーではなく、いつも苦味がそこにある。大人になるたびに苦味が増えていったのは間違いない。けれど今回のアルバムでは、その苦味をコントロールできるようになった気がします。使い所がわかってる。地に足の着いた大人のロックバンドならではの技。

でもね、僕はまだこれは到達点ではないと思います。これはあくまでも着地点であって、今は足が地面にめり込んで、力がぐーっと入ってる状態。まだもうひと伸びあると思う。大人のバンドが完成ではなく、スタート地点に立つ奇跡。
ゴーイングは本当に不思議なバンド。青春物語の延長線上にあるバンドは、青春の終わりと共に世界が変質して崩れて行くのが常。生き延びたバンドは、その世界を放り投げて、生まれ変わって生き抜いていく。でもゴーイングは青春の終わりを不恰好に迎えながら、そこから何かを捨てるではなく、いつのまにか大人のバンドになってる。たくさん傷ついて、血も流して、KO寸前だったはずだけど、不敵な顔で前を見る。きっとゴーイングが歌って来たのは青春ではなく、信頼だったのかもしれない。信頼が基本のバンド。だから大人になることは恐れることじゃなかった。信頼を絆と言い換えても良いかもしれないけど。

僕のこのアルバムで好きなところは「Anti Hero」から「45rpm」の流れかな。やっぱり僕にとってゴーイングはロックバンドなのよ。不恰好に転がるロックンロールバンド。