仮歌詞

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作曲家として作曲コンペに挑戦する時、大体のコンペでは仮の歌詞を書きます。その方が聞く方もイメージしやすいって事で求められる事が多く。まあそれもわかるので、特に要求がなくても書いてます。歌詞があると邪魔!ってパターンもありますけどね。


あくまで仮の歌詞なので、そんなに入魂の必要はないはずですが、ある作家さんから、そういう時も本気で書いた方が採用されやすいよと言われた事がありました。仮なのに?とも思ったけど、自分は音楽は熱量と考えてる所もあり。確かに熱の無い歌詞が乗ったデモは弱いよなと思って、それ以降は本気で書くようにしています。


川村カオリさんに書いた「miss you」では、仮に書いたサビの歌詞の「泳げない魚のように漂ってる 飛べない小鳥のように彷徨ってる」って所が気に入られて、そこだけ採用になりました。なので作詞は共作扱いになってます。自分でも気に入ってたから、嬉しかった事を思い出す。


この間ちょっと触れたNGT48の「春はどこから来るのか?」は秋元先生が素晴らしい歌詞を書いてくれましたが、これにも仮の歌詞は付いてました。その歌詞は、水のないプールで水面を見上げるように星を見ているシーンの歌詞でした。春へと駆け上がるような歌詞の曲になってますが、仮の歌詞では夜に漂うような歌詞だったわけです。

あ、ちなみにこの曲を作る時に意識してたのは多人数感や多幸感で、ポリフォニック・スプリーや、ゴーチーム、そしてスマパンなどでした。これ覚えててくれてる人がいたのでもう一回触れておきます。


1番面白いのはAKB48の「スクラップ&ビルド」の仮歌詞。あれサビ以外は全部サッカー選手の名前の羅列だったんです。ビリージョエルの「ハートにファイア」の有名人羅列のイメージで。意味を超えた歌詞にしてました。あの歌詞は書きにくかったと思うなぁ。変なリズム多かったし。ジョー・コールランパードリオネル・メッシジャンルカ・ザンブロッタエルナン・クレスポって歌詞。よく採用されたもんだ。笑


自分は中森明菜さんやCHAGEさんにも作詞家として詩も書いてるし、最近だとアイドルの未来サプライズとかには詩曲でも曲提供してます。なので詩を書くことは得意だし好きです。それでも誰にも公開されない詩を書き続ける人生。不思議な仕事をしてるなとよく思います。流れ着いた場所はそんな場所。思えば遠くへ来たもんだ。


多分あんまり書いてる人はいないであろう、仮歌詞の話でした。