「2016エガワヒロシ的ベストアルバム」

必ず新年になってから選出することにしてますベストアルバム。2016年もたくさんの音楽を聴いたので、なかなかに頭を悩ませて、12月は今年リリースのアルバムばかりを聴いてましたよ。今年は豊作でしょう!10枚に絞りました!



1.「The Hope Six Demolition Project」/PJ Harvey


今年のベストアルバムの1番はあっさり決まりました。重みかな。音楽自体の。音楽がカジュアルに、データとして消費されて、軽いものになっていく時代に、しっかりと受け止めるべきアルバムを作ってきたPJハーヴェイに拍手。女性らしいしなやかさも捨てず、暴力的な衝動もあって、だけど音楽的。そして無国籍。この境地にたどり着くのは限られた人だけだろうなぁ。



2.「META」/METAFIVE

たぶん今年一番聴いたアルバム。この豪華メンバーの誰もが作れそうで、このメンバーが揃わなければ作れなかったアルバム。小山田君とまりんの柔らかくも鋭角的な感じにLEO今井の肉体性が上手い具合に融合したのが勝利かな。そこにテイさんのスノッブな感覚、権藤さんが持ち込む有機性、そして幸宏さんのダンディズムとポップ性が乗っかる。絶妙なバランスのポップ。肝はLEO今井のうめき声と小山田君のカッティングでしょう。メンバーが使ってるとサンレコで言ってたソフトシンセをすぐ買って、完全にはまっております。



3.「TOSS」/トクマルシューゴ

元々トクマルさんのファンタジックなトイポップが大好きで。でも今回はそこにもっと直接的な暴力性だったり、肉体的な、バンド感とかロック?とすら言える感じが加わっててとても好きなアルバム。今までで一番かなぁ。たぶん今現在最も憧れるポジションにいる人。あそこまでサウンドに匿名性があるのは羨ましい。俺も頑張らな。



4.「幸福」/岡村靖幸

僕の音楽的な源泉の一つの岡村ちゃんのアルバムをベストアルバムに入れないわけにはいきません。今回もサウンドや言葉でも攻めながら、J-POPと呼んでも構わないぜべいべっ!と言わんばかりにポップなのが素晴らしい。まったく期待を裏切りません。まあでも半分がシングルですでに聴いてる曲なんですよね。そこだけかな。まあ何よりちゃんと帰ってきてくれたことを感謝したい。そして小出君が羨ましい。苦笑



5.「More Rain」/M.Ward

今年の1曲と言われたらこの曲なんです。アメリカのインディーシーンにしっかり根を下ろすM.Wardの充実作。リヴァーブ感たっぷりの歌で聴かせる大人のロックンロール。こういうのにめっぽう弱い。こういうダンディズムを身に着けたいんですけど、一番遠いところにあるんだよなぁ。シー&ヒムも嫌いじゃないけど。僕はソロアルバムの方が何倍も好きです。



6.「La Vita En La Tierra」/Santiago Cirmi Quinteto

自分がアルゼンチンの新世代タンゴグループを聴くようになるとは思わなかったなぁ。そんなミュージックマガジンみたいな!と昔だったら自分に突っ込んでる。でもこの作品は音響派の側面でも聞けるし、しっかりとメロディーがあるので、頭でっかちな前衛気取りの音響派ともまったく違う。美しい音響で奏でる美しい楽器の調べ。コンピューターベースの音楽に慣れ過ぎてるから、こういう有機的で手触りを感じる音楽がより魅力的に映るんだろうね。まあ今までに聴かなかった世界の入り口ですね。その入り口まで連れてきてくれたのはカマシワシントンだった気がする。



7.「A Moon Shaped Pool」/Radio Head

レディオヘッドも本当に期待を裏切らない。まあちょっと頭でっかちが過ぎちゃいませんか?という時もあるけど、ここ数作は逆にそこがナチュラルにバランスが取れてる気がする。そして今回はジョニーがサウンドトラック仕事で慣れ親しんだクラシック音楽の成分を大幅に導入。それもあってレディオヘッド流のチェンバーポップみたいになってるから、余計聴きやすいかな。ウィルコやTFC、レッチリやプライマル、それからスピッツといったベテラン勢も2016年は手ごたえのあるアルバムをリリースして健在ぶりを示しましたが、過去の傑作と比べる作品だったかと言うと首をひねるところがある。でもレディオヘッドはこれが一番好き!って人がいてもおかしくないと思う。現役中の現役。尊敬します。はい。



8.「Blackstar」/David Bowie

2016年の一番の衝撃はデヴィッドボウイ、そしてプリンスが亡くなったこと(最後にジョージマイケルもか・・・)。その中でもボウイはまるで自分が亡くなることまで作品にしたかのように、このアルバムを残したことで、さらなるアーティストとしての凄さを見せつけた気がします。最後の作品がとても攻めた、最先端と言って良い音楽だったことにも脱帽するしかない。ジャズミュージシャンを多数使ったプログレッシブで、でもロマンティックな作品。ボウイは永遠なり。



9.「Emily's D+Evolution」/Esperanza Spalding

ジャズミュージシャンを多数起用したボウイのラストアルバムのプロデューサー、トニー・ビスコンティと組んだのが、このジャズ出身の女性ベーシスト。そしてその作品がプリンスに繋がるファンキーな作品だなんて出来過ぎですよ。2016年を振り返るうえで忘れられない作品。この人、名前は聴いてたけど全然聴いたことなかった。でも聴いたら完全にはまって。他の作品も揃えなきゃなぁと思っております。ボーカルもかっこいいんだよねぇ。



10.「F-A-R」/沖野俊太郎

最後の一枚、とても悩んだんだけど、ライブも何度も見た沖野さんを最後に。そしてMVはもうこのアルバムの次に進んでる沖野さんの新曲を。アルバム未収録ですのでお間違いなく。
良く比べられるボビーのいるプライマルの新作と比べても、この作品の方が現役なんだよね。Tame Impalaとかのクールな打ち込みと肉体性の融合がここにはある。ミニマルな世界とポップやロマンティックな世界が違和感なく両立してる。声の魅力は言わずもがなですが、やっぱりメロディーとサウンドに対する嗅覚が素晴らしいと思うのです。タイちゃんも良い仕事してると思います。


というのが僕の2016年の10枚。めちゃめちゃ悩んだアルバムがいっぱい。最後まで迷ったのはサヴェージス、ファンタスティックネグリート、トータス、アヴァランチーズ、アニコレ、トラヴィスかなぁ。あとキルズか。特にファンタスティックネグリートが出会い頭の一発!って感じでやられました。

後はベテラン勢のイギーポップとスザンヌヴェガ、ベンワット、そして滑り込みのストーンズの衰えない偉大さには敬意を表します。あとベテランって言っていいのかわからないけど、ブライトアイズのコナーと、ライブが良かったリチャードアシュクロフトかな。あ、ウィーザーも久しぶりにピリッとしたアルバムだったな。それと偉大なヒップホップのトライブコールクエスト、デラソウルも期待を裏切りませんでしたね。

新人ではBabaganouj、新人とは違うけどウォークメンとヴァンパイアウィークエンドのメンバーが組んだバンドも良かったね。ビリーライダージョーンズも元コーラルか。再出発が多いんだね。

サウンドが面白かったのはビビオとアノーニ、古き良きサウンドを甦らせたラストシャドウパペットかな。アレンジャーとして勉強になりました。

日本ではスカートや入江陽のような新しい感覚のシンガーソングライターも目立った。バンドもシャムキャッツの新しいような古いようなサウンドがジャスト。そしてくるりサニーデイといったベテランの健在感は変わらず。もうゴーイングもそこに入れて良いのかな?音楽の世界を生き抜いてきた重みがあるね。そしてゴーイングもそうだけど身近な人たちがまた精力的にアルバムをリリース。CQやブラックコメットクラブバンド、山田稔明君、POLTA、MAZARSのアルバムも刺激になったかな。そして橋口靖正君の遺作となった「(-5)」も力作だったことをここに記したい。

音楽を買って聴くということがマニアと言われてしまう時代に、2016年もたくさん音楽を聴きました。でももうやめられないの。今年もたくさん買うと思います。そして音楽も作り続けます。音楽が僕の人生なのです。

今年もたくさんの音楽と出会えますように。そして僕の音楽もたくさんの人へ届きますように。

■ライブ情報

<ソロ>

1/20(金)高円寺HIGH
エガワヒロシpresentsフワリカ!Reborn!〜心に茨を持つ少年〜」
18:30開場/19:00開演
料金:前売り3000 当日3500円
出演:エガワヒロシ/近藤智洋&橋本孝志/藤重政孝/岸上規男

<PAVEL>
2/10(金)高円寺HIGH
詳細未定

エガワヒロシのチートロたこやき>
12/25(日)1/29(日)2/25(土)3/26(日)4/30(日)
[Total Feedback]&[SundayMonday]
高円寺HIGH 高円寺ampcafe同時開催

チケット希望の方は希望人数とお名前を連絡ください。