ベストアルバムイギリス編。ヨーロッパ編にしたかったけど、今年のイギリスは名作多過ぎて、イギリスのみになりました。順番は緩やかに個人的な順位。上から5枚はどれもベスト級の作品。
Alfie templeman「radiosoul」
ハリー・スタイルズやジャスティン・ビーバー、チャーリー・プースなどと並ぶソウル起点の現代的なポップながら、イギリス人って事でやっぱりハリー・スタイルズとの共通項を感じるポップの良質な果実。様々なジャンルを横断しながら、ただ「ポップ」に落とし込む、その潔さ、腹を括った感じが頼もしい。世界的なスターになって欲しい逸材だと思ってます。
Geordie greep「the new sound」
全員がアートスクール出身で、アートの匂いがブンブンするロンドンのバンド、ブラックミディのフロントマンのソロアルバム。マスロックやニューウェーブといったブラックミディでも見られた意匠がありながら、まさかの生音重視のジャズ・フュージョン的(サンタナ?ラテン?)テクニカルなプロダクションで、スリリング、エクストリームという言葉が頭に浮かぶ。でも全く突き放してる感じはなく、不思議に温かさすら感じるのが面白い。2024年で最も刺激的に感じた音楽です。
William doyle「springs eternal」
アンビエントアルバムを出したり、エッジの立った活動をしながら、ウィリアム・ドイル名義ではメランコリックなメロディーを聴かせてくれる。シンセ中心のラップトップミュージックの人だったけど、今回はやたらとギターが目立つ曲が多い。どこか正統なシンガーソングライターの音に近づいてる雰囲気が垣間見えて、この歩みはとても興味深い。ちなみにこの人マジ美メロ。唸る。
Morgan harper jones「up to the grass」
今年見つけた新人さん。シングルとかは2020年くらいから出してたみたいだけど、アルバムは初。生音重視ながらドリーミーな音作りの女性シンガーソングライターで、それは今の流行りではあるけど、曲作りも、歌も、サウンドプロダクションもワンランク上な感じ。今年本当によく聴いた一枚。
Primal scream「come ahead」
プライマルスクリームに関しては、申し訳ないけどもうあまり期待してなかった。ある程度のアルバムでも楽しめるし、あとはライブでカムトゥゲザーやってロックスやって、スワスティカアーーイズ!やってくれたら、と思ってた。そしたらこれがその三つの要素を合わせたようなアルバムで!そりゃびっくりしたし、ここに来て傑作なんて凄い!と唸った。またやって来た黄金期。あの頃のファン以外にも届いて欲しい。
Barry adamson「cut to black」
昔ポストパンク期にマガジンやヴィサージュ、ニック・ケイヴ&ザ・バッド・シーズで活躍したり、映画音楽でも有名なバリー・アダムソンのソロが、まさかの60年代ソウル風味でツボ。最初本当にマガジンのあの人?って疑ったくらいびっくり。渋みたっぷりのバリトンボイスが決まってます。ムーバーとか好きな人は絶対聴くべき。
Kelly lee owens「dreamstate」
イギリスのテクノ歌姫。この人は歌とテクノのバランスがギリギリポップミュージックからはみ出す時もあって、そこがスリリングに感じて好きです。2ndが1番バランス良かったけど、そのバランスに近い一枚。この人のサウンドプロダクションはいつも参考になります。aespaの「whiplash」とか近いよ。
Lynks「ABOMINATION」
レイヴとパンクがぐちゃぐちゃになって、とにかく盛り上がる一枚。クィアーという所謂セクシャリティを横断するシーンの人らしく、そのいつでも奇妙なマスクをしてる風貌も相まって、アートの匂いがプンプンします。でも意外にポップ。その塩梅が好き。
That woman「find joy」
めちゃくちゃ検索しにくい名前の女性シンガーですが、オーワンダーっていうポップデュオの片割れの人でした。デュオではオシャレでポップな打ち込み中心のサウンドですが、このアルバムは生音中心で落ち着いた曲調が多く、自分的にはツボ。テイラー以来このタイプは多いけど、意外にバランスが難しいんだよね。地味になりすぎたり、変に軽かったり。これは完璧。
他に良かったのはジェーン・ウィーバー(旦那はアンディ・ヴォーテル)、スマイル、The Snuts、フェリス&シルベスター、ホーム・カウンティーズ、ズートンズ、ヴァクシーンズ辺りかな。でもイギリスは選んだ9枚が強烈。
明日は日本編です。