アルバム全曲解説!!「無重力LOVE」編

 

 


アルバム解説2曲目は「無重力LOVE」。久しぶりにMV作った曲ですね。

 


アコースティックギターが鳴る優しいメロディーの曲です。みんなの感想もそんな感じ。そして良かった!との声が1番多い曲でもあります。実は。

 


これは日常ですね。恋をした時の最初の盛り上がりじゃなくて、その状態が日常になっていく、1番幸せな時間の歌。なんとなくそんなに会話しなくても空間が埋まるようになったくらいの空気感を出したくてね。そしてそれは何か確たるものを感じてそう思うわけじゃなくて、フワッとした、それこそ無重力状態みたいな感覚なんじゃないか?とそんな事を歌にしてます。

 


幸せっていうものを確実に感じたい、それこそ言葉にとにかくして欲しいって人はたくさんいると思うんですけど、残念ながらそんな感覚を得る為には、無重力のようなフワリとした状態を受け入れないといけない。そこからしか幸せって始まらないと思うんです。確信なんて持てないけど、なんだか胸の奥が暖かい。そんなイメージ。結果から求めると形が歪になるんだよね。ゆっくりと、歩くように距離を詰めて、幸せのカケラを積み重ねていく。それが本当の幸せの基礎になるんだと思う。

 


これはギターソロを弾いてます。ファズ感のある音で。あまりやった事ないやつ。田村君じゃないギターってのがポイントです。それ以外はいつものエガワヒロシサウンドかな。曲も1番得意なやつ。

 


そしてこの曲は実は転がり続ける下北沢のロックバンド、wash?の「you」という曲のMV見てて、コインランドリーのシーンで頭にメロディーが浮かんで出来た曲です。まあ曲調も全然違いますけど。笑

 

 

 

無重力LOVE」

 

コインランドリーで  グルグル回った

二人のTシャツ  絡み合っていた

 

恋は無重力でBABY

フワリ  漂ってるだけ

 

あぁ 確かなものなどないけど

求め合っている

繋いだ手と手が心に届いたんだ

それはきっと  思い過ごしかもね

 

何が起こっても  何も起きなくても

二人で並んで歩くのが

正しいことだって

何だか心の奥の奥の方で

そんな声が聞こえた

そんな声が聞こえた

 

あぁ泣いたり笑ったりそれだけ

繰り返していく

それでも何だか良いよね

君が笑ったんだ

あぁ確かなものなどないけど

求め合っている

(曲がりくねった 長い道のり

だけど僕らは 手を取り合って)

繋いだ手と手が心に届いたんだ

(擦りむいたって 這いつくばって

だけど笑って だけど笑って)

それはきっと  思い過ごしかもね

アルバム全曲解説!!「I'm a dreamer〜john's soul〜 」編

 

 


みんなに気に入ってもらえたみたいで「SAMIDARE NIGHT」は幸せなミニアルバムになってます。

このアルバムは自分で出しただけなので、そんなに宣伝出来るわけじゃないし(だからこそこの間の「bayfm it!!」は嬉しかった!)宣伝にも限りがあるので、アルバム完成したらやりたかった全曲解説をしたいと思います。セルフインタビューみたいなものか。

 


まずはラストナンバー「I'm a dreamer〜john's soul〜」から。

 


サブタイトルはジョンレノンのファーストアルバムの邦題「ジョンの魂」から拝借。いつも言ってる通り、僕の父親のおじの娘の旦那がオノヨーコさんの兄だか弟だかで、ジョンとは親戚ということに自分でしてることもあるんですが(笑)とにかくジョンが好きなんです。音楽も生き方も。あの馬鹿正直ですぐ人にぶつかる癖にナイーブなところ。それが音楽にも出てるし、音楽がジョンそのもの。音楽とイコールの人に憧れるんです。

 


僕がハウスハズバンド的な生き方を選び、それを真っ直ぐ、堂々と取り組み続けていられるのも多分、ジョンの影響がデカイ。だからこそ、家事に逃げてるような生活もしたくなくて、全てを全力でやる毎日を送ってます。

 


そんな毎日を送ってたどり着いたのがこの曲の世界。特に子供が生まれ、たおを大切に育てることを第一に生きていると、とにかく未来を肯定したくなる。光を見出したくなるんです。だからこそ綺麗事を言いたかった。夢は叶う。永遠はある。そんな言葉。

 


嘘っぱちだって良いんです。とにかくそれを口にすることが大事。それをたおに、子供に、未来が不安になってる人に、下を向いてる人に届けたかった。指さされたって良いんです。口にして、きらめきをまとう。それだけが大事で。

 


この曲を笑う人もいると思う。ケッって思う人もいる居ると思う。でもそれで良いんです。だから「綺麗事言うよ」って宣言してるんだから。

 


自分がジョンの後継者だなんて言うつもりはないけれど、何かを継承する一部分にでもなれてたら良いなぁーって思ってます。僕は夢想家。そんな言葉をタイトルにしました。

 


ちなみにサウンドも自分の大好きな60年代オマージュで逆回転満載。サイケデリックへの異常な執着も僕の個性です。ノードラッグなのに。クスリ絶対ダメ。

 

 

 

「Im’ a dreamer~ジョンの魂~」

 

君の青い鳥が  その手離れても

綺麗事言うよ  夢は叶うんだよ

明日の置き場所が  わからない時も

綺麗事言うよ  永遠ってあるんだよ

 

でまかせの嘘つきと  後ろ指さされても 大切なのは

口にした瞬間の  ちっぽけなキラメキを

まとうことで  さあ行こう

 

夢を見よう 君の明日を  照らすんだよ

本当の事は 眩しい  モノなんだよ

うつむいていた君が  顔を上げたら

それで良いんだ  Im’a dreamer

 

ジョンが語る言葉はいつも

デタラメなのかもしれないけど

心の奥まで突き刺さる

 

想像をしよう  輝ける日々を

真っ白なピアノ  奏で 歌うんだよ

夢を見よう君の明日を  照らすんだよ

本当の事は眩しい  モノなんだよ

うつむいていた君が  顔を上げたら

それで良いんだ Im’a dreamer

SAMIDARE NIGHT

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ついに4枚目のミニアルバムが完成しました!タイトルは迷いましたが、「SAMIDARE NIGHT」に決めました。初めてのタイトルトラック。アルバムの一曲のタイトルをアルバムタイトルにするのは初めて。基本的にアルバムには一貫した世界観みたいなのが欲しい人なんどけどね。今回はこれ以上のタイトルは思いつかず。なんとなくワード感が気に入っててね。

 


今回のコンセプトは生活感、等身大、とにかく自分そのままのものを描きたかった。なので今回は岡田勉さんのMIX以外、すべてを自分でやった真正シンガーソングライターアルバムです。作詞作曲は勿論、アレンジも楽器演奏も、ジャケットデザインも自分でやりました。等身大が必ずしも正しいとは思いませんが、一度そんなものを作ってみたかった。もっと言えば間違ってみたかった。その間違いも含めて作品にしてみたかった。そんな青臭い思いがこの作品には充満してます。息苦しくなって聴いて下さい!

 


既に各ストリーミングサイト等でも聴けます。とりあえず自分がよく使ってる。spotifyはこちら!


https://open.spotify.com/album/1QIX9RKmvtaBa63yXUh52b

 


そして今回は配信のみのリリースなので、歌詞が見れない。なので歌詞をホームページにまとめました。こちらを見ながらアルバムを楽しんで貰えたら。


https://egawahiroshi.wixsite.com/hiroshiegawa/samidare-night


48歳の今、デビューから20年経った今が詰まった作品です。嘘偽りない現在のエガワヒロシ。そんなものを感じて下さい!よろしくお願いします!

「2017年ベストアルバム」

新年になってからいつも前年のベストアルバムを選んでます。いつもならすぐ決まるんですけど今回は迷ったー。良いアルバムは多かったんですけど、これ!というのがなくて。なので10枚はとても厳しかった。この10枚と同じくらいだなぁーって思うのはあと15枚くらいあるかな。で、これが僕の2017年アルバム。

1.Electric Trim/Lee Ranaldo
2.Sleep Well Beast/The National
3.A Deeper Understanding/The War On Drugs
4.Colors/Beck
5.Villains/Queens Of Stone Age
6.Salutations/Conor Oberst
7.Song Of Experience/U2
8.Semper Femina/Laura Marling
9.Drunk/Thundercat
10.Hug Of Thunder/Broken Social Scene

今回はアメリカやカナダの充実したインディー王道バンドのリリースラッシュ。アーケイドファイア、スプーン、フリートフォクシーズ、シンズ、ダーティープロジェクターズ等も充実策を出しましたが、どのバンドも今までの作品と比べて抜けてるとは思えなかったかな。グリズリーベアを買えてないのは反省。

その中でナショナルは今までと比べても何かしっくりきた。実験性はむしろ増してるし、ポップになったって感じはないのに深みは増し、力強くなったような感触があります。自分と波長が合って来ただけかもしれないけど(苦笑)あとブライトアイズ名義を期待しちゃうコナーも良かった。ソロでは一番好きかな。シンガーソングライターの着実な作品って感じです。昔のストレンジな感じはなくなったけど、この人はこれで良い気がします。

そしてブロークンソーシャルシーンは完全に最高傑作。音がデジタル処理された感が強すぎる嫌いはありますが、今まであったアーケイドファイアの二番煎じ感は払しょくできたかな。アーケイドファイアは葬式でダンス!みたいなオリジナリティーがあるんだけど、もっと平熱でダンスしてる感じにブロークンソーシャルシーンはなってると思います。余談ですが今の時代のスタジアムロックってこういうことかな?と思います。それはレディオヘッドがビッグになったことで、単純で大文字のロックがやりにくくなった。その隙をついてアーケイドファイアとコールドプレイが作ったのが今の時代のスタジアムロック。音は入り組んでいるけれどビッグなメロディーが必ずあって、サビに向かって繊細な音を積み上げ、サビでドーンと突き抜ける。思慮深さと快感原則を両立したロックサウンド。ジョー・チッカレリ仕事って感じですな。

そしてオルタナティブ番長的なソニックユース組とベックもコンスタントにリリース。ソニックユース組のリーとサーストンはどちらも良いアルバムでしたが、やっぱり僕はリーが好き。あのジョージハリスン的な丁度良い立ち位置が最高。そして今まではポップな曲をやる時に気負いだったり照れみたいなものを少し感じてたんだけど、やっと板についてきた気がします。リーのポップの温度が一番しっくりくる。サーストンは頑張ってソニックユースの看板を背負ってる感じがするけど、リーは自由で良いね。

ベックはあっぱれ。ポップにあんなに飛び込むなんて。やる時はやり過ぎなくらいやるのがベックの楽しいところ。正直フェニックス聴いてるのか?ってくらいポップな音。好みとしてはブルーズ感が薄れ過ぎとは感じるけど、ポップをやるには邪魔だったのかな。軽薄な音なんだけど何回も聴ける。さすがベック。

そしてセカンドアルバムの失速を免れたのがウォーオンドラックス。この人はチルウェイブとディランの融合だと思ってたんだけど、今回のアルバムで一つ気付いた。それはブライアン・アダムスとの類似性。いや本人絶対嫌がると思うけど、あの大陸的なメロディーをどこかに感じる。そしてそこがとても好きです。

さらにアメリカインディーに当てはまらない鬼っ子ハードロックのクィーンオブザストーンエイジも良かった。この人達の雑食性と貪欲さを表すようなマーク・ロンソンと組むというチャレンジ。そのアイデアを実践しちゃのが良いよね。しかもしっかりその成果も出てて。孤高のロックバンド。

そしてベテランのU2がこんな良い作品を作ってくるとは意外でした。正直前のアルバムはあんまり好きじゃなくて、そんなに期待してなかった。それがしっかりソングライティングに焦点を絞って、良いアルバムを完成させてきた。他にもデペッシュモードやポールウェラーシャーラタンズ、ライドなんかも良かったね。英国はベテランが元気でした。ちなみに良い曲しか書けない病気のノエルさんは今回も美メロの嵐。でもサウンドに色気を出したらちょっとぼやけたかな。ノエルに期待してるのは曲だけなので、誰かほかのアレンジャーとやって欲しい。小林武史でも良いよ(笑)ニールフィンの焦点の絞れたアルバムを見習って欲しいかな。

2017年の反省点は新しい音を探せなかったこと。まあ経済的事情もあるんですが(苦笑)もっと新しい音を探したかった。その中でも新しい出会いはローラ・マーリング。ファイストをもっと室内楽的にした感じで、静かな部屋で一人で聞くのにぴったりな音楽でした。音の一つ一つの手触りを感じるような音楽。さらに流行りの越境的なジャズの人、サンダーキャットのアルバムも良かった。カマシ・ワシントン程の出会い頭感はなかったけど、AORを現代的にしていく感じはとても面白いです。

他にはフェニックス、LCDサウンドシステム、ケンドリック・ラマー、マシュー・スウィート、ホラーズなんかも良かった。日本だと高橋徹也さんとHi-5、ナッヂエムオール、ゴーイングといった身近な人から良いアルバムが届きましたね。the MADRASのシングルもか。そしてコーネリアスもいた。うん。

2018年も僕はアナログもCDも買うと思います。そういう文化圏に生きてる。それが現代的なのかどうかはわからないけど、そんな生活を通して音楽を作りたいです。音楽で生きる人なんだから当たり前なんだけどね。

「All is Calm,All is Bright/H i-5」


遂にリリースのH i-5のニューアルバム。この機械仕掛けのパンドサウンドがなぜこんなに有機的なのか。このおじさん3人がセッションで作り出すメロディーがどうしてこんなに青いのか。こんなどこにでもいそうな気の良い3人が作る音楽がどうしてこんなに普遍的なのか。

大学時代から変わらぬ友情で結ばれた3人が、それぞれ紆余曲折ありながらも音楽をまっすぐ見つめ続け、今も全く変わらないフレッシュな気持ちで同じように3人でバンドをやってる。これって実はものすごいことだからね。バンドの活動期間の長さでいったらもっと長い期間のバンドも勿論あるだろうけど、気持ちの変わらなさ、新鮮さはギネス級だと思う。そしてまた新しいアルバムで最高到達点を超えるって、これは奇跡でしょ。

タケダ君の持つ根源的な青さを守る為に、オダ君とテッペイやんは腕を磨いて鉄壁のアンサンブルを作ってきた。それぞれが他の現場で使命をされるくらい腕を上げたことで、新しい地平が見えてきた気がします。

まあでも、それでもこのバンドの真骨頂はライブ。一回も見たことない人は見て欲しいなあ。所謂打ち込みのバンドとは全く違う音だから。ルックスに派手さはないですが(苦笑)音楽は輝いてますよ。誰が見たってわかるくらい凄いんだから。

今度の日曜には下北251でリリースパーティーだそうです。しかもハイフラ、マドラスホンダレディが一緒だってよ。よだれだらだらなライブ。俺は行くぞ。

「Ti Amo/Phoenix」


今やフランスを代表するバンド、フェニックスの新作。

とにかく気持ち良ければ良いだろ?っていう軟派なスタイルが持ち味で、いつもスウィートな甘ったるいメロディーをその時々に旬なサウンドに乗せてくる。まあ毎回毎回スタイリッシュ。でも前作は少し頭でっかちというか、考え過ぎじゃね?というところがあった。そして今回は軟派で軽薄なスタイルに舞い戻ってて、心地よさ最優先。ここが気持ち良いんでしょ?と呟くジゴロのようなくすぐり具合です。

いやあフェニックスはこうじゃなきゃなぁ。この10年僕のフェイバリット10に入り続ける大好きなバンドです。

「Hot Thoughts」/Spoon


アメリカインディー界の良心、スプーンのニューアルバム。
デスキャブ、モデストマウス、ディアハンター、ナショナル、シンズといったバンドによって攻勢を極めたアメリカインディーバンドシーンは今も活発に動いてますが、チャート的なところでは難しい時代に突入してます。このスプーンの新作のチャートアクションも厳しかったらしい。

でも、それでこのアルバムの出来が悪いかといったらそんなことはなし!今回もスプーン印の実験的な音響の世界。ドラムの音とかめちゃくちゃ特徴的だし、その定位のさせ方は他では聴けない。全ての音がどこかささくれ立っていて、迫力のある音が組織立ってこちらに向かってくる。でも流れるメロディーはどこか優しく、懐かしい感じで、実験的な音楽に有りがちなとっつきにくさは全然ない。そして今回は絶妙なファンクネスもあり、同時代の音への目配せも隠し味的にあって飽きさせない。

これは音楽愛なんだと思う。この人達は愚直に音楽を信じてる。そこがとても清々しく、まっすぐ響いてくる原因だと思う。まあ音楽愛だけで立ち回れるような世界ではないんだろうけど、こんなバンドがあっても良いと思う。このバンドには生き残って欲しい。こんなバンドが生き残れないなら、ポップミュージックは死んだんだと思う。スプーンはいつも裏切らない。絶対。いつだって信頼出来るバンドだから。