「Hot Thoughts」/Spoon


アメリカインディー界の良心、スプーンのニューアルバム。
デスキャブ、モデストマウス、ディアハンター、ナショナル、シンズといったバンドによって攻勢を極めたアメリカインディーバンドシーンは今も活発に動いてますが、チャート的なところでは難しい時代に突入してます。このスプーンの新作のチャートアクションも厳しかったらしい。

でも、それでこのアルバムの出来が悪いかといったらそんなことはなし!今回もスプーン印の実験的な音響の世界。ドラムの音とかめちゃくちゃ特徴的だし、その定位のさせ方は他では聴けない。全ての音がどこかささくれ立っていて、迫力のある音が組織立ってこちらに向かってくる。でも流れるメロディーはどこか優しく、懐かしい感じで、実験的な音楽に有りがちなとっつきにくさは全然ない。そして今回は絶妙なファンクネスもあり、同時代の音への目配せも隠し味的にあって飽きさせない。

これは音楽愛なんだと思う。この人達は愚直に音楽を信じてる。そこがとても清々しく、まっすぐ響いてくる原因だと思う。まあ音楽愛だけで立ち回れるような世界ではないんだろうけど、こんなバンドがあっても良いと思う。このバンドには生き残って欲しい。こんなバンドが生き残れないなら、ポップミュージックは死んだんだと思う。スプーンはいつも裏切らない。絶対。いつだって信頼出来るバンドだから。