ゆらゆら帝国で考え中

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ゆらゆら帝国のベーシストだった亀川さんが亡くなってしまった。個人的な繋がりは無いし、ただのいちファンでしか無いけれど、ゆらゆら帝国の音楽をこの世界に産み落としてくれた事にとにかく感謝したい。あんな音楽はどこにも無い。日本のロックンロールを誇らしく思えた瞬間。


やってる事は3コードのロックンロールのはずなのに、どこかはみ出して行くその音楽に僕らの世代は完全にやられた。世代的には自分のちょっと上だから、もう少し下の世代はさらに衝撃だったと思う。


センスが良いとかカッコいいというのが、海外の音楽にどこまで迫れるか?みたいな観点だった時代に、そもそも海外にも存在しないし、どこにも無いロックンロールを提示してくれたのがゆらゆら帝国。そこからくるりコーネリアスなど海外追従じゃ無い日本の音楽は増え始め、今の藤井風、米津玄師など、みんな今の人達は海外に似てるとかなんて意識もしてない。その種子としてゆらゆら帝国は大きかったと思う。


そしてそんなアングラ臭漂う音楽をお茶の間に引っ張り出しためちゃイケの功績もここでは触れておきたい。ああいう事がたまに起きるのが面白いよね。


あの独特なロックンロールは、「空洞です」まで行って、もはやロックンロールでもない、誰も知らないムードミュージックになった。そしてゆらゆら帝国は役割を終えた。独特な楽器の音色と声、コードワークとグルーヴが醸し出すムード、そして普通の言葉を普通じゃない場所に置いた歌詞。そんなものが一体となって、ゆらゆら帝国という音楽は奏でられていた。ゆらゆら帝国が流れると、その場所は特別な場所になる。その不思議な現象について、ずっと考えている。


まさにゆらゆら帝国で考え中。亀川さんのご冥福をお祈りします。