アークティックモンキーズのアレックスターナーと元ラスカルズのマイルズケインによる、火曜サスペンスばりにセンチメンタルでドラマティックなポップミュージックを奏でる音楽追及ユニット。なんと8年ぶりの新作。これが素晴らしいんです。
前のアルバムも良かったんだけど、本体のバンドとは違うことをやろうという意識が強くて、なんというかクオリティは高いんだけど、血肉化してないというか。スコットウォーカーに憧れた若者が作った感がどうも強くて。
でも今回のアルバムは本人達がすっかり大人になり、このドラマティックな音楽を奏でるだけの音楽的な、そして人間的な重みみたいなものが追い付いてきた。そしてそれは音の細部にも表れてて。
主役といってもいいストリングスは前より効果的だし、それ以外のキーボード、そしてギターの音がこれだよ!って感じにドンピシャ。あの時代の音楽そのものでありながら、焼き直し感のない、自分たちの音楽になってます。お見事。
やっぱり大人にしか奏でられない音楽ってあるんだよね。もちろんそれとは逆に若者にしか奏でられないものはあるわけで。音楽にはその時にしか鳴らせないものがある。それがはまるとこんなカッコいい音楽が出来るんだね。これぞアダルト・オリエンテッド・ロックミュージック。AORって良い言葉だな。