レビュー

「Fading Frontier」/Deerhunter

アメリカのガレージ風味な、ちょっと他とは違うシューゲイザーバンド、ディアハンターの6枚目。このバンドはいつも音をコロコロ変えていくんだけど、今回はまさかのピーターガブリエルやティアーズフォーフィアーズを参照にするなど、ちょっとビッグなドラム…

「Everything You've Come To Expect」/The Last Shadow Puppets

アークティックモンキーズのアレックスターナーと元ラスカルズのマイルズケインによる、火曜サスペンスばりにセンチメンタルでドラマティックなポップミュージックを奏でる音楽追及ユニット。なんと8年ぶりの新作。これが素晴らしいんです。前のアルバムも…

「Chaosmosis」/Primal Scream

僕らの世代にとっては特別なバンドがプライマルスクリーム。いつだってトレンドセッター的な立ち位置で、技術よりもセンスで世界を泳ぎ切っていくバンドでした。でも近年はさすがに年齢も上がって、単純に流行りを追いかけることもなくなり。じゃあダメにな…

「25」/ADELE

この時代に売れまくったプロフェッショナルによるプロフェッショナルな、音楽界の良心的なアルバム。アデルの3枚目。アデルのボーカルはまあ凄まじい。上手いとかは当たり前、尋常じゃない凄みがある。その歌が奏でるのが、これぞプロ仕事の抑制された、で…

「The Jack Moves」/The Jack Moves

最近JAZZ的なものに興味を持ち始めてるんだけど、その発端は所謂ビンテージソウルというか、昔ながらのソウルを現代に甦らせたブラックミュージックの新世代達。その中で真打登場とも言えるのが、マルチ奏者とヒップホップシーンにいたプロデューサーの二人…

「Salvation Town」/Jonny Two Bags

所謂アメリカーナと言われる音楽が好きです。スフィアンスティーブンスが出て来た頃から注目し始め。アメリカの伝統音楽、カントリーやブルーグラス、もちろんブルーズなんかを下敷きにした、少し土臭い音楽。そこに微妙に新しさや、テックスメックス的な風…

「FLEHMEN」/Curly Giraffe

元Great3の高桑さんのソロプロジェクト、カーリージラフの5枚目。ウエストコーストサウンドをルーツとしながら、アコースティックギターを重視した宅録サウンドが心地よいというイメージがあるかな。でもこのアルバムはその路線も守りながらとても幅広くて。…

「The Epic」/Kamasi Washington

ジャズが苦手ってことはないのですが、基本的に楽曲単位にこだわる僕としては、あまり縁のない音楽でした。どっちかというと演奏に重きを置いた音楽と言うイメージがあって。でも最近はちょっとイメージが違うジャズがチラホラ。昨年のMVP的ヒップホップアー…

「More Rain」/M.Word

定期的にレコード屋に行って試聴しまくります。この間はあまりに良いアルバムが多すぎて、予算が追い付かず、CD抱えてずっとうろうろ迷ってたんだけど、このアルバムだけは絶対に離さなかった。アメリカのシンガーソングライター、M.Wordの新作。最近は女優…

「Phisical World」/Bart Davenport

苦節20年の浮上というポップの文章だけで試聴して、完全に魅了されたアメリカのシンガーソングライターの初の日本盤発売のアルバム。スペインのレーベルからワールドリリースされて、アメリカではあの話題のバーガーレコードがリリースしてるらしい。一聴し…

「SF」/入江陽

面白い音楽をやっている人ばかりのレーベル、P-VINEから放たれる変態的なポップソウルの刺客。前のアルバムが各誌のベストアルバムに選出されてましたが、僕はこのニューアルバムの方が好きです。バックグラインドにジャズ研究会でピアノ、管弦楽団でオーボ…

「Adore life」/Saveges

イギリスの女性4人組バンドのセカンドアルバム。1枚目は背筋が伸びて、切れ味鋭いポストパンクの匂いがプンプンする良いアルバムだったので、このアルバムをとても楽しみにしてました。そしてその答えは予想の斜め上で。今回のアルバムはあのヒリヒリ感はそ…

「幸福」/岡村靖幸

岡村ちゃんのニューアルバムがついに発売!!めでたい!今回もキャッチ―でグル―ヴィーで変態なあの世界が全開です。まあ今回のアルバムもほとんどがシングルで聴いたなというものが多いですけど、それ以外の曲も凄くキャッチ―。岡村ちゃんの状態の良さを感じ…

「META」/METAFIVE

YMOの高橋幸宏さんの元に集ったYMOチルドレン達。元フリッパーズギターでコーネリアスの小山田圭吾、元ディーライトのテイトウワ、元電気グルーヴで傑作ソロ作品を持つまりん、ソロでも素晴らしい上に元ナンバーガールの向井秀徳とのユニットも好評なLEO今井…

「★」/David Bowie

デヴィッド・ボウイが最後に残した傑作。正直ボウイが亡くなってしまった今、その悲しみを抜きにこの作品を聴くこともできないんだけど、完成度は抜群。ジャズメンをたくさん使い、新たなサウンドを構築してる。この最後まで新しいところにボウイの凄みを感…

「Hunky Dory」/David Bowie

名曲「Changes」で始まる名盤。所謂グラムロックで派手な花火を打ち上げる前の、ピアノとアコギ、そしてストリングスが中心の美しいメロディーのアルバム。ボウイの核にはこのメロディーがあるから、どんな音楽を取り入れても退屈にはならないんだと思う。ロ…

「Crosseyed Heart」/Keith Richards

音楽は魔法であって欲しい派です。なので鍛錬があって、研究があってこそなのもわかりますが、そういう仕組みとか技術とか理論とかをパッと超えて差し出される良い音楽にとても惹かれます。 誰もが知ってるロックアイコンのキースはそんな一人。上手くならな…

「Have You In My Wilderness」/JULIA HOLTER

聖なるという言葉が似合うジュリアホルター。各雑誌のベストアルバムに入っているのを見て、気になった1枚。クラシカルなアレンジで、教会的な、讃美歌的な雰囲気も漂う。声はスザンヌ・ヴェガとファイストの間って感じで、もう少し処女性というか汚れない…

2015年ベストアルバム

明けましておめでとうございます。例年通りの実家でのグダグダした年末年始を過ごして参りました。ここらでねじを巻き直し、今年も精進して参ります。今年もよろしくお願いします! さて、そう言いながら早速2015年の振り返りを(苦笑)恒例のベストアルバム…

「Tell Me I'm Pretty」/Cage The Elephant

今年最後に衝撃の出会い。レコード屋で「アークティックモンキーズとレッチリの出会い」って書いてあって、バンド名に聞き覚えもあったので聴いてみたら、あまりに好みの音でびっくり。ファストな楽曲から距離を置き始めたくらいのアークティックに凄く近い…

「To Pimp A Butterfly」/Kendrick Lamar

今年のベストアルバムが出始める時期ですが、どこでも名前を聞くのがこのケンドリックラマー。まあ趣味を入れないで、完成度や、衝撃度、時代性など、客観的なところで評価すれば、これが当然の一番かな。このヒップホップ門外漢の僕ですらそう思う作品の説…

「猫と五つ目の季節」/山田稔明

今週は小説。GOMES THE HITMANの山田君の処女小説を。ハッキリ言って、作詞家の人が書いた小説ってあんまり好きな小説ないんです。音楽に詩を載せるのと小説ってまったく違うものなので、だいたい借りてきた猫というか、小説家の衣装をまとって出てくる感じ…

「Pure Mood」/Ringo Deathstarr

リンゴデススターの新作が、スターウォーズの新作にぶつかるのは偶然か?しかしこのデススターのスーパーレーザーのような破壊力のアルバムを聴くにつけ、本当にスケールのでかいバンドになってきたと思う。所謂シューゲイザーの範疇に入れられているけれど…

「Diver Down」/VAN HALEN

それほどヴァンへイレンに思い入れはないんだけど、僕が洋楽を聞き始めた頃のビッグスターで、昔からなじみがある音で好きでした。でもこの5枚目を改めてこの間アナログで手に入れて、もう大興奮。これはかっこいい!このアルバムはカバーが大半なんだけど…

「Souljacker」/EELS

顔も音楽もシンパシー感じまくりのイールズの4枚目。僕のメジャーデビューシングルのジャケットもイールズの真似をしたぐらいイールズが大好きなんです。最初の3枚のリリカルでドリーミーな感じももちろん好きなんだけど、このアルバム以降たまに現れるオ…

「Women And Country」/Jakob Dylan

二世というのは因果なものだ。親が偉大なら偉大なほど、親から受ける光と影の影響を受けざる得ない。でもこのビッグネーム中のビッグネーム、ボブ・ディランの息子、ジェイコブ・ディランは飄々と親の影響を受け流しているように見える。意識して距離を取る…

「From Dusk Till Dawn e.p.」/CQ

アルコールとノイズの酩酊の果てを表現するバンド、CQがアナログ限定でEPをリリース。しかも会場限定。今回もアナログテープで一発録りだそうです。アナログEPだけでもレアなのに、そんな暴挙に出るバンド今いませんよ。今回はシューゲイズバンドとしてのル…

「Anthems For Doomed Youth」/The Libertines

僕は世代的にもリバティーンズ直撃の世代ではないし、なんか活きの良いのが出てきたな、くらいの感じでリバティーンズの登場を見てました。だから今回の復活も、そこまで興奮するものではないです。でもこの人達の音楽の豊潤さは本当にすごい。基本ラフな演…

「NO NO NO」/Beirut

アメリカ人シンガーソングライターでありながら、異国の音楽にばかり興味を示す、ザックドンゴン率いるベイルートの4枚目。この人はとても不思議な音楽を作っていて、今どきのテクノロジーを使いながらも、必ずアコースティックな手触りの音を奏で、そして…

「B'lieve I'm Goin Down…」/Kurt Vile

アメリカインディー界が誇るギターを抱えた吟遊詩人、カート・ヴァイルのニューアルバム。白昼夢を見ているような、眠りながら暮らしているような、靄のかかったサウンドと朴訥としたメロディーが魅力の人ですが、今回はサイケデリック色が後退。実に地に足…